タンパク質にはどんな種類があるの?たくさん摂ってもいい?

2019/8/1

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

タンパク質と言えば、プロテインなどの名前で「筋肉を作る栄養素」としてのイメージが強いです。しかし、タンパク質は筋肉以外にも体のさまざまな部分を作るほか、体内の調整などにも役立っているのです。

そんなタンパク質には、どんな種類があるのでしょうか?また、高タンパク食はよく推奨されますが、たくさん摂取しても問題はないのでしょうか?

タンパク質とは

タンパク質は炭水化物・脂質と合わせ、「三大栄養素」と呼ばれています。人間にとって大切な筋肉や臓器の細胞を作るもとになるほか、体内環境の調整をしているホルモンの材料になったり、エネルギー源になったりします。タンパク質は主に「アミノ酸」によって構成されているため、アミノ酸やアミノ酸がいくつかつながった「ペプチド」に分解されてから体内に取り込まれます。

体内に取り込まれたアミノ酸は、いくつか組み合わされて再び必要なタンパク質が作られます。自然界にあるたくさんのアミノ酸のうち、体を作るアミノ酸は20種類あり、目的に合わせて数十個〜数百個が結合して約10万種類の異なる性質・働きを持つタンパク質を作っています。筋肉・肌・髪はすべてタンパク質からできていますが、性質が全く異なります。これは、アミノ酸の組み合わせによってその性質が異なるからです。

また、20種類のアミノ酸のうち、9種類は体内で合成できないため、食事から摂取しなくてはなりません。この9種類のアミノ酸を「必須アミノ酸(=食べることが必須)」、その他の11種類のアミノ酸を「非必須アミノ酸」と言います。それぞれ以下のような名前がついています。

必須アミノ酸
バリン・ロイシン・イソロイシン・リジン(リシン)・メチオニン・フェニルアラニン・スレオニン(トレオニン)・トリプトファン・ヒスチジン
非必須アミノ酸
グリシン・アラニン・アルギニン・システイン・アスパラギン・アスパラギン酸・グルタミン・グルタミン酸・セリン・チロシン・プロリン

つまり、私たちの体を構成するアミノ酸のうち、約半分は自分の体内で合成できないということです。必須アミノ酸の配合された食品は健康食品などにも多いですが、こうした理由によるものなのです。

タンパク質の種類は?

タンパク質は、人間も含めて生物すべての体を作る基本的な物質です。そのため、食事からタンパク質を得る場合、肉・魚・卵などの「動物性食品」から得る方法と、穀物や豆類などの「植物性食品」から得る方法があります。このように分類されるのは、それぞれの食材によって含まれる必須アミノ酸の種類や、タンパク質の吸収率が違うからです。

動物性タンパク質の多くは、必須アミノ酸9種類をすべて含んでいます。一方、一部の植物性タンパク質の中には、必須アミノ酸のうち一部が不足しているものもあります。体内でのアミノ酸の働きは、不足している必須アミノ酸の量に合わせられてしまうため、他のアミノ酸をどれだけ多く摂取していても、1つでも足りないものがあれば摂取不足となってしまうのです。

また、体内の吸収率も、動物性タンパク質は97%と含まれるタンパク質のほとんどが体内に吸収されるのに対し、植物性タンパク質は84%と、約1.5割が吸収されずに排出されてしまいます。植物性のタンパク質を摂取する場合、単純に含まれるタンパク質の量だけを計算するのでなく、排出される分も考慮に入れる必要があるのです。

さらに、動物性タンパク質と植物性タンパク質では、同じアミノ酸であってもペプチドの配列が違い、その違いが体内で別の効果を生んでいることもあります。たとえば、国立長寿医療研究センターの研究(NILS-LSA)によると、動物性由来のプロリンを摂取した人の方が、植物性プロリンを摂取した人よりも「知識力」の得点が上がりやすかったことがわかっています。

このように、同じタンパク質でも、動物性由来と植物性由来では性質が異なります。そのため、動物性のみや植物性のみに偏らず、さまざまな食品を摂取することが大切です。

1日に必要なタンパク質ってどのくらい?

厚生労働省の「食事摂取基準」によると、日本人が1日に摂取するタンパク質の必要量・推奨量は以下のようになっています(かっこ内は推奨量)。

  • 男性(18歳以上)…50g(60g)
  • 女性(18歳以上)…40g(50g)

また、育ち盛りと呼ばれる15~17歳(高校生ぐらいの年齢)では、男性65g、女性55gが推奨量とされています。しかし、この推奨量はあくまでも健康な状態の人を想定して算出された数値です。たとえば腎疾患を抱えているなど、タンパク質を制限する必要がある方は、医師の食事指導に従い、不安な場合は一度相談してみましょう。

代表的な食品100gあたりのタンパク質量は、以下のようになっています。

  • 白米…6.1g
  • 豚バラ肉…14.2g
  • 鶏もも肉…17.3g
  • まぐろ(缶詰やフレークなど)…17.7g
  • キャベツ…1.3g
  • 大根…0.5g
  • 大豆…35.3g
  • 鶏の卵(白身と黄身合わせて)…12.3g
  • 牛乳(無加工)…3.3g
  • ヨーグルト(全脂無糖)…3.6g

これらはあくまでもタンパク質の数値だけを算出していますので、この数値を参考に、高タンパク・低カロリーの食生活を意識しましょう。揚げ物やソース・マヨネーズなどの調味料を摂取しすぎると、脂質の摂りすぎになってしまいます。食事を摂るときはタンパク質だけでなく、脂質やビタミン・ミネラルなど、他の栄養素とのバランスも考えましょう。

タンパク質をたくさん摂っても大丈夫?

タンパク質は人体に必要であり、推奨摂取量も多い栄養素ですが、過剰に摂取しすぎると逆に体に悪影響を及ぼす可能性があります。考えられる悪影響として、以下のようなものがあります。

内蔵疲労のリスク
余ったタンパク質は窒素となり、肝臓・腎臓を通って排出される
窒素→アンモニア→尿素と変換しないと排出できない
摂取しすぎるとこの分解でかかる負担が多くなり、内蔵疲労を引き起こす
カロリーオーバーのリスク
肉や卵など、動物性タンパク質の多い食品は脂質が多いことも
脂質を考慮に入れながら食べたり、調理法に気をつけたりするとよい
余ったタンパク質もカロリーとなるので、過剰になりすぎない方がよい
尿路結石のリスク
動物性タンパク質は、体内のシュウ酸や尿酸などを増やす
シュウ酸はカルシウムと結びつきやすく、腸で便にならなかった分は尿として排出される
尿中でカルシウムと結びつくと、尿管が詰まる原因の「結石」となる
腸内環境の乱れ
動物性タンパク質は、腸内の「悪玉菌」のエサとなってしまう
悪玉菌が増えると腸の活動が弱まり、病原菌などに感染する危険性や、発がん性を持つ腐敗産物を多く作る危険性がある
腸内に腐敗産物が増えると、口臭や体臭の原因にもなる

これらの健康リスクは、まだタンパク質をどの程度過剰に摂取したら起こりうるか、というデータや報告にまで至ってはいません。しかし、どんな物質でも過剰に摂取しすぎれば毒になるように、タンパク質も過剰に摂取し続けることが体によいとは限らないのです。思い当たることがある場合は、タンパク質の摂取量を見直してみると良いでしょう。

おわりに:タンパク質には動物性と植物性があり、それぞれ吸収率が異なります。

タンパク質には、動物性と植物性の2種類があります。同じアミノ酸が組み合わされた同じ種類のアミノ酸でも、動物性と植物性で体内の働きが変わることもありますので、動物性だけ、植物性だけに偏らないバランスのよい食事が大切です。

また、データとしては出ていませんが、タンパク質も過剰摂取しすぎると体に悪影響を及ぼす可能性があります。1日の推奨摂取量を参考に、過剰摂取しすぎないよう気をつけましょう。

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