記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/12/14 記事改定日: 2020/7/21
記事改定回数:2回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
手足の指先が青白かったり、しびれを感じたりする場合、それは「レイノー病」かもしれません。今回の記事ではレイノー病について、具体的な症状や原因、治療法などをご紹介していきます。
レイノー病は、原因となっている病気などがなく、手足の先の血液の循環が悪くなる症状がでることです。何らかの原因疾患を持っていることでこの症状がでる場合には「レイノー症候群」と呼ばれ、レイノー病とは区別されます。
発症するのは比較的若い年代の女性に多く、虚弱体質の人が発症しやすいです。症状は主に冬にあらわれますが、夏でも冷房がきいている部屋で冷えてしまうと症状が出ることがあります。
レイノー症候群では元の病気により症状が出ているため、元になっている病気が深刻な場合には症状も強くなりますが、レイノー病では症状があらわれても自然に治癒することが多く、手足の先の壊死を起こすような重篤な症状が出ることはほとんどありません。
レイノー病はレイノー症候群と違い、発症原因が明らかになっていません。どちらも同じような症状が出ることから、これらの症状はレイノー現象と呼ばれていますが、レイノー現象が起こる主なきっかけは、寒さの刺激を受けたことや精神的ストレス、肉体的ストレスを受けたことです。他にも喫煙が関係していることがわかっています。
上記の刺激を受けると、体の端にある動脈が異常に収縮し、血流が急激に悪くなるため手先や足先の血流が少なくなり血の気がなくなったように見えます。血管の収縮は副交感神経よりも交感神経が活発になっている時に起こるので、自律神経の調節機能が悪くなっているときに交感神経と副交感神経のバランスが悪くなりレイノー現象を起こすのではないかと考えられています。
レイノー病の症状は主に手足の先端の皮膚が血の気を失って真っ青になり、チアノーゼを起こすことです。
これは緊張など精神的な刺激が元になったり、急に冷たい空気に触れたことが原因となって、手足の先端の血管が収縮を起こし、血流が悪くなることで起こります。
ただ、チアノーゼを起こすだけのときもあれば、症状が強くなるとしびれや痛みを伴うこともあり、激しい痛みが出ることもあります。
寒冷刺激と精神的な緊張が重なった場合には症状も強くなることが多いようです。
この症状は通常は長く続くことはなく、しばらくすると自然に元通りになっています。またレイノー病自体が年齢と共に治ってしまうこともあり、その場合には症状も年齢を重ねることで出なくなります。
レイノー現象が生じる主な原因は、上でも述べた通り寒さやストレス、喫煙習慣などに起因するものです。それらが原因のレイノー現象の多くは、自然に軽快していくため治療の必要がないケースも多々あります。
しかし、次のような症状があるときは、何らかの病気が背景にある可能性があるので放置せずに病院を受診するようにしましょう。
レイノー病の症状が起こる原因は、手足の先の血管の収縮が強すぎることなので、血管を広げて血流をよくする治療、具体的には「血管拡張剤」という血管を広げる薬を服用します。
ただの治療を行っても症状の改善が見られない時には、血管を収縮させている交感神経の切除が検討されることもあります。
レイノー病は漢方薬によって症状の改善が期待できる場合があります。
主に使用される漢方薬は、血行を改善する成分が含まれているもので、当帰芍薬散や黄連解毒湯、加味逍遥散、温経湯などが挙げられます。
また、発症に強いストレスが関与していることが考えられる場合には、半夏厚朴湯や抑肝散柴胡加竜骨牡蛎湯などがおすすめです。
しかし、これらの漢方薬は薬局やドラッグストアなどで手軽に購入することが可能である反面、効果には個人差があります。
また、レイノー症状は膠原病など思わぬ病気が原因となっている可能性もありますので自己判断で漢方薬を服用せず、必ず病院で診察を受けて適切な薬を処方してもらうようにしましょう。
レイノー病の症状は交感神経が活発になり過ぎているときに起こるので、自律神経を整えるような生活習慣を心がけることが非常に重要です。
精神的ストレスをため込み過ぎないようにしたり、睡眠時間をしっかり確保することで自律神経のバランスが整いやすくなります。
また寒さの刺激を避けるため防寒をしっかり行うことや血管を収縮させる喫煙は止めることも効果が規定できるでしょう。
レイノー病の人は、血管を広げる効果のあるビタミンEを積極的に摂るようにしましょう。ビタミンEを多く含む食材としては、うなぎやたらこ、卵、アーモンド、オリーブオイルなどが挙げられます。また、脂溶性ビタミンであるため、油で炒めると吸収がよくなります。これらの食材を摂るときは調理法にも工夫をしてみましょう。
しかし、油分の多い食事などは動脈硬化の原因となり、レイノー症状を悪化させることがあります。他の副菜などは油を使わない献立を考え、バランスよい食生活を心がけるようにしましょう。
レイノー病の発症には、ストレスや喫煙習慣など生活面の影響が関連していると考えられています。そのため、まずは生活習慣の改善を実践しましょう。それでも改善しない場合は病院を受診し、治療方針について相談してみてください。
この記事の続きはこちら