記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/5/22
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
効率よくやせるためには、自分の体質や肥満遺伝子を知り、そのタイプに合ったダイエットを実践することが重要です。今回の記事では、自分の肥満遺伝子のタイプがわかる診断と、それぞれに合ったダイエット法をご紹介します。
ダイエットに成功した友だちに、痩せた方法を聞いて自分も実践してみたけど、全然痩せなかった…、またはすぐに元に戻ってしまった…という経験はありませんか?あるいは、テレビや雑誌で紹介していた方法が自分には効果がなかった、ということもあるかもしれません。
同じダイエットをしてみても、人によって効果の出やすさには違いがあります。その理由は、それぞれの体質、あるいは「肥満遺伝子」と呼ばれる遺伝子タイプの違いが原因かもしれません。
「肥満遺伝子」は、基礎代謝(特別な運動をしなくても、生活しているだけで消費されるエネルギーのこと)の量にかかわっている遺伝子で、いくつかのタイプがあります。たとえば、基礎代謝が低いタイプの肥満遺伝子の人は、生活しているだけではカロリーをあまり多く消費できないため、太りやすくなります。逆に、基礎代謝が高いタイプであれば、太りにくくなるのです。
つまり、これらの自分の肥満遺伝子のタイプを知らないままダイエットを始めても、思ったような結果が得られにくかったり、必要のないことをしてしまったりする可能性があります。自分の肥満遺伝子の特徴を知り、その特徴に合わせたダイエット方法を選ぶことが成功の手掛かりになることがあるのです。
関連記事:遺伝子検査がダイエット成功に役立つって本当?どこで検査すればいい?
肥満遺伝子は主に、「リンゴ型」「洋ナシ型」「バナナ型」という3タイプに分けられると考えられています。質問を読み、自分の特徴に近い回答をA・B・Cの3つの中から1つ選んでください。この3つの中でどの記号が一番多いかで、あなたがどの遺伝子タイプかをある程度推定することができます。
A ごはん、パン、パスタなどの主食系
B 炒め物や揚げ物、肉などの脂っこいもの
C 野菜や海藻などのヘルシーなもの
A よく食べて、その分太る
B 普通、または小食だけど太りやすい気がする
C 小食、または大食いだけどどのみち太らない
A 上半身がふっくらの逆三角形
B 下半身がふっくらの三角形
C 全体的にほっそりの直線的なかたち
A 細かいことは気にしない、マイペース
B のめり込みやすく、自分の考えは曲げない
C 細かいことまで気になる、完璧主義
A すぐ太る
B 足がむくむ
C 胃腸が弱い
A ベルトやズボンのウエストがきつくなった
B お尻や太もも、脚がムチムチしてきた
C 見た目というより、体脂肪率が高くなった
A 一時的には痩せるが、すぐにリバウンド
B なかなか結果がでないから、挫折する
C ダイエットは不要or年齢を重ねたら急に太りやすくなった
Aが一番多かった人=リンゴ型、Bが一番多かった人=洋ナシ型、Cが一番多かった人=バナナ型の可能性が高いです。自分のタイプが分かったら、それぞれの遺伝子タイプの特徴と、おすすめのダイエット法をぜひお読みください。
リンゴ型は、リンゴの丸い形のように、お腹まわりが太りやすいタイプです。内臓脂肪がつきやすく、いわゆる「メタボ体型」になりがちです。もともと日本人に多い肥満遺伝子のタイプで、特に男性に多い傾向があります。
リンゴ型の人は、糖質分解力が弱い傾向があるといわれています。そのため、食べた糖分が体内に溜めこまれ内臓脂肪となって肥満になってしまうと考えられています。基礎代謝量が少なくなるため、同じ量を食べたとしても他の人より太りやすくなってしまうことが特徴であり、糖尿病や脂質異常(高脂血症)、脂肪肝などにも注意が必要です。
リンゴ型の人は、食事のコントロールを中心にダイエットを進めていくのがおすすめといえるでしょう。内臓脂肪のもとになる糖質を制限をすることが重要ですが、主食を完全に抜くような過剰な糖質制限は健康面でもリバウンドの面でも危険です。
また、食べる順番でも工夫ができます。はじめは、野菜やスープなどの糖質の少ないものから食べ始め、肉や魚などのタンパク質、最後にご飯やパンなどの炭水化物という順番にすると、糖が吸収されにくくなるので試してみてください。
運動は内臓脂肪を効率に燃焼しやすい有酸素運動がおすすめです。ウォーキングやヨガ、水泳など、長時間持続できる運動を取り入れてみましょう。
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洋ナシ型は、洋ナシの形のように、下半身に脂肪がつきやすいタイプです。皮下脂肪をためこみやすく、特に日本人の女性に多い体型といわれています。また、基礎代謝が低めで太りやすく、血のめぐりやリンパの流れも滞りがちで、太もものセルライトや足のむくみに悩む女性も多いといわれています。
脂質を分解するのが不得意であり、揚げ物や肉の脂身など、脂が多い料理や乳製品をとると、それがそのまま体脂肪になりやすくなります。がんや、女性では婦人科系の病気に注意が必要です。
おすすめのダイエット法としては「食事の量」をコントロールするようにしましょう。食べすぎや飲みすぎは、皮下脂肪がつく大きな原因です。カロリーを使いきれずに余らせることがないよう、食事の量から減らしていく必要があります。脂肪の多い食事を減らし、筋肉のもとになるタンパク質を補いましょう。
また、皮下脂肪は内臓脂肪に比べると、落とすのに時間がかかります。急に運動をしてもすぐには痩せられないため、筋肉をつけて、基礎代謝そのものをアップさせることも目標にしましょう。下半身を鍛えるスクワットなどの筋肉トレーニングに、有酸素運動を組み合わせられるとさらに効果が期待できます。
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バナナ型は、バナナの形のように、脂肪や筋肉が少なく手足がほっそりしている人が多いタイプです。野菜などのヘルシーなものを好むうえ、基礎代謝が高いため、太りにくいのが特徴です。
一見、ダイエットとは無縁のようにも思えますが、実は筋肉がつきにくく落ちやすいという性質があるため、一度太ってしまうと痩せられず、みるみる太ってしまうという危険性もはらんでいます。筋肉が少ないため、脂肪を燃焼する力が弱くなってしまうのです。便秘や下痢を繰り返しやすいだけでなく、心臓病、うつ病、低血圧などに注意が必要と考えられています。
バナナ型の人は、食事のバランスを整えることが大切です。小食だったり、すぐに食事を抜いたりする人も多いといわれているので、栄養のバランスを考えながら規則正しく食事をするように心がけましょう。
同時に、年齢とともに衰えやすい筋肉を、トレーニングなどで補ってあげる必要があります。もともと筋肉がつきにくいので、一定の負荷を加えて行うウェイトトレーニングなどがおすすめです。筋肉を育てるタンパク質を食事でとりながら、トレーニングを続けていきましょう。
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効率的に結果を残せるダイエットをしたいなら、まずは自分の「肥満遺伝子」のタイプを知ることで効率よくダイエットを進めることができる場合があります。糖質を分解するのが苦手でお腹まわりが太りやすい「リンゴ型」、脂質を分解するのが苦手で下半身が太りやすい「洋ナシ型」、太りにくいけれど一度太ると痩せにくい「バナナ型」、それぞれのタイプに合わせたダイエットをしましょう。
ただし、上記はあくまでも「ひとつの定説」です。専門家に相談しながら経過を確認し、自分にあった方法を見つけることが最も重要です。特に持病がある人や、健康診断で「リスク」があるといわれた人は、医師に相談しながらダイエットをすすめていくようにしましょう。