記事監修医師
川崎たにぐち皮膚科、院長
「口唇ヘルペスを治すには、病院でお薬を処方してもらうのが1番いいのはわかっている。けれど、仕事や学校で病院に行く暇がない」…そんな人のために、今回の記事では「口唇ヘルペスの市販薬」の購入の際の注意点や、市販薬の種類などについて解説します。
口唇ヘルペスの発病には、初めての発病と再発の2通りがあります。初めて口の周りに水ぶくれやかゆみが生じたときには、自己判断せずに医療機関を受診しましょう。過去に口唇ヘルペスと診断された経験のある方で、再発して症状が比較的軽い場合には、市販薬を活用することも一つの手段です。
口唇ヘルペスに有効な成分として、ビダラビンやアシクロビルなどがあります。薬のパッケージ(成分表)を見て、それらの成分が含まれているか確認してみましょう。
口唇ヘルペスの市販薬で一番有名な軟膏です。有効成分アシクロビルが含まれており、ヘルペスウイルスの増殖をおさえる効果があります。
医療用として使われているアラセナAと有効成分ビダラビンの濃度が同じです。アクチビア軟膏と並んで人気のある市販薬です。
アクチビア®軟膏・アラセナ®Sと比べると使っている人が少ない傾向にありますが、アシクロビルを有効成分とした塗り薬です。
口唇ヘルペスの市販薬を購入する際は、必ず薬剤師の指示に従って購入しましょう。
市販の塗り薬の場合、1日3〜5回の塗布、発症してから10日間ほどが使用の目安になります。最終的に乾燥してかさぶたになるまで、継続していきましょう。発症してから塗り始めるまでの期間は、短ければ短いほど効果が期待できます。
また、ヘルペスウイルスは接触することで感染しますので、患部を手で触らない、タオルや食べ物などを家族と共有しないなど他の人への感染を防ぐために配慮するようにしましょう。
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口唇ヘルペスの市販薬を薬局で購入する際には、下記の条件をクリアする必要があります。
性器ヘルペスの抗ウイルス薬は、国内では医師の処方がなければ購入できないようになっています。そのため病院での治療が基本であり、ドラッグストアなどで市販薬は販売されていません。
再発の場合や症状が比較的軽症の場合、または他にお薬を飲んでいて内服薬が使えないような場合には、抗ウイルス剤の軟膏を病院で処方されることがあります。
なるべく初期の段階で、使用を開始するようにすると悪化を防ぐことができます。また、塗り薬は有効成分の濃度が落ちやすいため、使い終わったらいつまでも取っておかずに処分しましょう。
「同じヘルペスだから」と口唇ヘルペス用の市販薬を性器ヘルペスに使ってしまう人もいるようですが、これらのお薬はあくまでも口唇ヘルペス用のお薬です。医師の診断を受けて適切な薬を処方してもらいましょう。
また、性器ヘルペスの場合は、症状が見えていないところにも小さな病変(病気によっておきる変化)がある場合もあり、抗ウイルス剤の内服での治療が基本となります。
※抗ウイルス剤内服薬、外用薬以外にも患者さんの症状により、鎮痛剤やビタミンB12製剤(商品名:メチコバール)などが処方されることがあります。
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ヘルペスは、軽度なものであれば市販の抗ウイルス薬で対処することができます。再発を繰り返す人はその都度病院を受診するのは難しいでしょうから、市販薬に頼ってもかまわないでしょう。
しかし、初めてヘルペスが疑われる症状が出たときは、ヘルペスに似た症状が現れる病気は他にもたくさんありますので、まずは水疱がヘルペスによるものなのか正しく診断してもらいましょう。
また、次のような重度な症状のヘルペスは市販の薬だけで対処できないことがあります。漫然と市販薬を使い続けてさらに重症化するとヘルペス脳炎などを引き起こすこともありますので、できるだけ早く病院で治療を受けるようにしましょう。
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口唇ヘルペスの塗り薬はドラッグストアで購入することができますが、購入が許されているのは、過去に口唇ヘルペスと診断されたことのある患者のみになります。また、全て塗り薬のため、病院で処方される内服薬と比べて効果が劣ります。
初めて口唇ヘルペスになったという方が薬を購入するためには、医療機関で薬を処方してもらう必要がある、という点に留意しましょう。