記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/7/25 記事改定日: 2019/8/1
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
ハスの実などの小さな穴が集合したものや、ブツブツしたものを見たときにゾクッとしたことはありませんか?このような集合体に対しては、多くの方が不快感を感じる傾向にありますが、過剰に恐怖を感じる場合は「集合体恐怖症(トライポフォビア)」の可能性があります。この記事では、集合体恐怖症の症状や治療法について解説します。
集合体恐怖症(トライポフォビア)とは、ハスの実やハチの巣、カエルの卵、コーヒーの泡など、小さなブツブツが密集した集合体に対して著しい恐怖を感じ、日常生活に支障が出てしまう恐怖症の一種です。集合体恐怖症の場合、小さなブツブツが密集したものを見たときに以下のような症状があらわれます。
集合体を見たとき、気分が悪くなることはあっても、その程度が過剰ではなかったり、実生活に支障が出たりするレベルでなければ、集合体恐怖症ではなりません。「特定の状態や対象に対し、一般的な常識から考えて過剰な恐怖を感じる」、「恐怖症によって生活に支障が出ている」という2つの条件を満たしたときに、集合体恐怖症と診断されます。
集合体恐怖症の発症原因はまだ明らかになっていませんが、近年、寄生虫や伝染病に対しての潜在的な恐怖が発症に関わっているのではないか、という見解が注目されています。
たとえば、はしかや風疹などの伝染病を発症すると皮膚にブツブツした発疹がみられますし、ダニにかまれたときにも皮膚に小さな穴があきます。ハスの実や蜂の巣などを見たとき、その形状から「感染源となり得るもの」と脳内にインプットされてしまい、結果として過剰な恐怖感や身体症状を引き起こすのではないかと考えられています。見方を変えると、集合体恐怖症の症状は、本能からくる正常な反応とも考えられるのです。
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集合体に恐怖を感じてしまうのは、本能からくる正常な反応とも言えます。そのため、集合体を見てゾッとすることがあっても、日常生活に支障が出ていないなら治療は不要です(ちなみに、アメリカ精神医学会では正式な恐怖症として認めていません)。
しかし、過剰な恐怖心があったり、仕事や外出などに影響が出ているような場合、一例として以下のような治療を行うことがあります。
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集合体恐怖症を改善するには、薬を飲むだけでなく、認知行動療法や暴露療法などの心理療法を実施することが重要となります。もし、日常生活で支障をきたすほど不安や恐怖を感じてお困りの場合は、一度専門の心療内科やメンタルクリニックなどに相談してみることをおすすめします。