記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/8/24
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
触覚や温度に対する感覚、痛覚などの異常が生じる「感覚障害」は、脳卒中の代表的な症状・後遺症の一つです。今回はこの脳卒中による感覚障害について、特徴や治療方法などをお伝えしていきます。
脳卒中とは、脳の血管が破れたり詰まったりして脳に血液が行き渡らなくなり、脳の神経細胞が障害される病気の総称です。脳の血管が詰まる「脳梗塞」、脳の血管が破れる「脳出血」、動脈瘤が破れる「くも膜下出血」、脳梗塞の症状が短時間で消える「一過性脳虚血発作」の4種類に分けられます。
脳卒中を起こすと、突然の片麻痺や言語障害、そして感覚障害などの症状が現れるようになります。脳卒中の感覚障害は、損傷を受けた脳の反対側の半身で起こることが多く、少し感覚が鈍いという軽度のものから、触られてもほとんど感じないという重度のものまでさまざまです。
脳の障害の部位によっては、特殊な感覚異常が発生する場合もあり、例えば「視床」という部位が障害されるとひどい痛みが生じたり、口周辺と手だけがしびれたりすることがあります。
脳卒中によって脳の感覚の経路が障害されると、はじめのうちは触覚や温痛覚が鈍くなる、しびれを感じる、といった症状を自覚します。
しかしこのしびれは、時間の経過とともに強い痛みへと変化することがあります。前述した「視床」以外に「脳幹」が障害されたときにこの現象は起きやすく、半身がビリビリと痛んだり、焼けるように痛くなったり、風が触れただけでも激痛を感じたりするようになります。これを「脳卒中後疼痛」と呼びます。
この脳卒中後疼痛に対しては、基本的には痛み止めや神経に作用する薬などの「内服治療」を行い、症状の程度に応じて少しずつ容量を増やしていきます。
また、ほかにも痛い部分に適度な刺激を流すことで痛みを緩和する「脊髄刺激療法」が実施されることもあります。この治療法では局所麻酔をした後、脊髄硬膜外腔に電気の線を挿入し、1週間程度試験刺激を行った後、有効であれば全身麻酔をして刺激装置を埋め込む手術を行います。
ただ、こうした痛みに心因的要素が関連している場合は心療内科も併せて受診したり、またこれらの対処を行っても激しい痛みが緩和しない場合は、手術が検討されたりすることもあります。
脳卒中による感覚障害の程度には個人差がありますが、視床など特定の脳の部位が障害された場合は、感覚障害がやがてひどい痛みへと変化することがあります。疼痛を緩和するにはさまざまな治療法があるので、専門医と相談しながら、適切な治療を選択しましょう。
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