不妊は運動で解消できる?おすすめの運動にはどんなものが!?

2018/8/24

前田 裕斗 先生

記事監修医師

前田 裕斗 先生

妊娠しやすい体を作る、というと、必ずと言っていいほど「適度な運動」という言葉が聞かれます。適度な運動が健康に良いことは周知の事実ですが、妊娠に対してはどのような効果があるのでしょうか?また、不妊は運動によって改善できるのでしょうか?
この記事では、運動と不妊の関係や、おすすめの運動についてご紹介します。

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運動は不妊の改善に効果がある?

運動することで、「適正体重が維持できる」「血流が良くなる」「基礎代謝が上がる」などのメリットがあります。これらは、不妊の原因である「肥満・やせすぎ」「ホルモンバランスが悪い」「体温が低い」などを改善することができます。

それぞれ、不妊の改善に対してどのような効果があるのか見ていきましょう。

適正体重を維持すると、妊娠率が高くなる

過度なやせすぎや肥満は、不妊の原因となります。体重の指標を表す数値にBMIという値がありますが、BMI値が18.5未満や30以上の場合、妊孕性(にんようせい:妊娠しやすさ)が低下することが指摘されています。

具体的には、BMI値が18.5未満の場合、月経不順を引き起こす可能性があります。ひどいと無月経や無排卵となり、排卵誘発剤を使って月経を起こさないと月経が来ない、排卵が起こらないといった状態になってしまいます。また、妊娠した後にも胎児が発育不全となるリスクも上がります。

BMI値が高い30以上の場合、PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)という症状を引き起こす可能性があります。こちらも排卵機能に関する疾患で、卵巣の中で卵胞は毎月育てられるものの、未熟なまま排卵されず、そのまま卵巣の中に数珠のように連なって残ってしまいます。また肥満の人は、卵子が採れても質が悪く、胚盤胞まで育ちにくくなりやすいことが指摘されています。

一般的に、「普通体重」とされているのはBMI18.5〜25までですが、妊娠を目指す人の推奨BMI値は20〜24とされています。できるだけこの値に近づくように、またはこの体重内である人は維持するように適度な運動を行うことで、妊娠率を上げることができると考えられています。

血流が良くなると、ホルモンバランスが良くなる

月経を初め、女性の妊娠に関わるほぼ全ての段階でホルモンが関係してきます。ホルモンは、血流によって運ばれ、それぞれの部位に働きかけます。このホルモンの値が少ないと、働きかけが少なく反応が悪くなってしまいます。血流を悪くする原因であるストレスやタバコに関してよく注意されるのも、このためです。せっかくホルモンを補充していても、必要な器官に行き渡らなくては意味がないからです。

そこで、運動によって凝り固まった体をほぐし、血流を良くすることで、ホルモンを全身にめぐらせることができます。ホルモンが十分に行き渡り、ホルモンバランスが良くなると、自然と治療の効果も出やすくなります。また、運動がストレスの解消につながることもあり、その場合はより血流を良くする効果が見込めます。

基礎代謝を上げると、体が温まる

前述の血流の部分とも重複しますが、体が冷えていると血流が悪くなります。特に、女性は下腹部が冷えやすく、妊娠に関わる器官が集まっている部分に冷えが直撃してしまう可能性があります。そうなると、下腹部に集中している器官の血流が悪くなり、卵巣機能や黄体機能の低下を招いてしまいます。

基礎代謝を上げると、そもそもの体温が高くなります。それによって、どこかの部位だけが極端に冷えるということがなくなり、また、外気温が寒くても体温調節機能がきちんと働いて体温を一定に保つことができます。

不妊の改善におすすめの運動は?

不妊の改善におすすめなのは、有酸素運動です。酸素をしっかり取り入れながら運動を行うことで、基礎代謝を高め、血流を良くすることができます。おすすめの運動は「ウォーキング」「ヨガ」「ストレッチ」の3つです。

ウォーキングはダイエット効果も

特別な道具やスポーツウエアを用意する必要もなく、誰でもすぐに初められるのがウォーキングです。気分転換に散歩しながら行くのも良いですし、買い物や通勤の中で行うのも良いでしょう。ウォーキングをする際には、以下のようなことに注意して行うと効果的です。

  • 大きく腕を振り、大股で歩く
  • 全身運動であることを意識しながら歩く
  • 1日30分程度が目安

ダイエットも兼ねてウォーキングをする場合は、しっかりと腕を振って30分程度歩くと効果が上がります。体に蓄えられた脂肪がエネルギーとして燃焼するのは運動開始後約20分経ってからといわれていますので、できれば20分以上持続して行いましょう。

また、歩くことは下半身の血行を良くする効果が期待できるほか、骨盤底筋を鍛えることにもつながるので安産にも良い効果が期待できます。

リラックスしてストレスも解消できるヨガ

ヨガは、ゆっくりとした動きと呼吸法で行える有酸素運動です。リラックスし、体を温めるほか、ホルモンバランスを整えるポーズもありますので、不妊に悩む人にはぜひおすすめです。

ヨガは、自宅で行うことも教室に通うこともできますので、自分の好みに合わせて選びましょう。ダイエットを兼ねたホットヨガの場合、道具が必要になりますのでヨガ教室やジムなど、設備のある場所で行いましょう。

自宅でいつでも行えるストレッチ

普段から体の筋肉にコリがある、体が硬いという人にはストレッチがおすすめです。全身の凝り固まっている筋肉をほぐすことで、血流の改善が見込めます。また、骨盤の位置を整えることで子宮や卵巣が正しい位置におさまり、諸器官の血流が良くなるなど妊娠しやすい体づくりができるといわれています。

ストレッチのやり方はインターネットの動画や本、DVDなど、さまざまな方法で調べることができます。また、ヨガ教室やジムなどでも教えてくれるところもあります。さらに、お風呂上がりで体が温まっている時に行うのも血行を良くするのに効果的です。1日10分程度を目安として行うのが良いでしょう。

不妊改善につながる運動選びのポイントは?

不妊の改善を目的として運動を行う場合、以下のようなポイントに気をつけて選びましょう。

  • 有酸素運動である(短距離走など無酸素運動をしない)
  • 運動がストレスにならないよう、無理をしない

まず、大前提としてあるのは有酸素運動であることです。激しいランニング、筋力トレーニングなどは、呼吸が浅いまま行っていることが多いです。これらは無酸素運動と呼ばれ、体の中に活性酸素を発生させてしまいます。活性酸素は体の細胞を老化させるだけでなく、卵子や精子といった生殖細胞にもダメージを与えることがわかっています。

また、運動がストレスにならないよう、気分転換やリラックスを兼ねて行うと良いでしょう。運動しなければという意識がかえってストレスになってしまうと、せっかく運動で血流が良くなってもストレスでプラスマイナスゼロになってしまいます。あまり時間やスタイルにとらわれすぎず、無理のない範囲で行いましょう。

おわりに:適度な運動は不妊の改善になる

適度な運動は血流を良くし、基礎代謝を上げ、ダイエットにも役立ちます。そのため、不妊の重大な因子となる「冷え」や、「肥満・やせすぎ」を防ぐことができます。特に、BMIが30以上など高い方は、BMI値を標準に戻すことで、PCOSの改善や妊娠率・卵子の質の向上が期待できます。

不妊の解消のための運動は、有酸素運動を行いましょう。また、運動がストレスにならないよう、無理はしないことが大切です。適度に楽しく、運動で不妊を改善しましょう。

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