はしかと風疹との違いは?感染経路、症状、予防法も解説

2018/9/13 記事改定日: 2019/8/8
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

はしかや風疹といった名前は聞いたことがあっても、それぞれどんな症状を持つ病気なのかをご存知の方は意外と少ないかもしれません。この記事では、はしかと風疹の違いや感染経路、症状、予防法などについて解説します。

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はしかとは?風疹との違いは?

はしか(麻疹)とは、麻疹ウイルスに感染することにより発症する感染症のことで、一度でも発症すると一生免疫が持続するといわれています。咳やくしゃみなどの飛沫だけでなく、空気中に飛んでいるウイルス粒子の吸入によっても感染するため、免疫を持たない人が感染者と教室や体育館などの閉鎖空間にいると、90%以上の確率で感染すると言われています。

はしか(麻疹)と風疹(三日はしか)は、発熱や発疹などの共通の症状もみられますが、発症の原因ウイルス、感染経路、回復するまでの期間など異なる部分も多いため、有効とされるワクチンも異なります。

はしか(麻疹)
はしかは、10~12日の潜伏期間後に38℃前後の熱が2~4日持続し、発疹が現れる際にさらに熱が上がります。症状は基本的には7~10日ほどで回復するとされています。
風疹(三日はしか)
風疹2~3週間の潜伏期間の後、3~5日間発熱や発疹、リンパ節の腫れなどが持続します。また、はしかと比較すると感染力や症状が軽いといわれていますが、妊娠初期に発症した場合は先天性風疹症候群(CRS:胎児に先天性の障害[難聴、白内障、心臓構造異常など]が起こる)を発症する恐れがあります。

はしかはどうやって感染する?

はしかは空気、飛沫、接触などで麻疹ウイルスに感染することで発症します。感染力が非常に強力なため、一人でも集団の中に感染者がいると、そのうちの12~14人は感染するとされています(インフルエンザの場合は1~2人)。

感染後に症状が現れない(不顕性感染)のはまれで、90%以上の感染者が発症するといわれています。このため、学校は解熱後3日経つまで学校を休むことが定められています(はしかは学校保健安全法に基づく第二種学校感染症に該当するため、欠席扱いになりません)。

感染者が発症後、周囲に感染させる恐れのある期間は、症状が起こる1日前(発疹が現れる3~5日前)から、発疹が出始めてから4~5日目の間です。カタル期(発疹が現れる前の時期)が最も感染力が強いといわれています。

はしかに感染すると、どんな症状が出てくる?

10日~12日間程度の潜伏期間の後、以下のような症状が現れます。

感染初期

感染初期の状態では、38~39℃の高熱、倦怠感(小児では不機嫌が見られる)、上気道炎症状(咳、鼻水、くしゃみ)、結膜炎症状(結膜充血、目やに、光をまぶしいと感じるなど)、コプリック斑と呼ばれる口内(頬の粘膜部分)にできる白い斑点、などの症状が現れます。発疹が出始めてから2日経過するまでにはコプリック斑は消失しますが、口腔粘膜の発赤や口蓋部の粘膜疹、溢血斑などが起こることもあります。また、乳幼児に多く見られる症状として、下痢や腹痛などの消化器症状などがあります。

なお、上気道炎症や結膜炎などの症状が出現する期間のことをカタル期または前駆期と呼びます。

感染中期

初期症状から2~3日経過すると少し熱が下がる期間がありますが、約半日後には全身に赤い発疹が出現する際に39℃以上の高熱が起こります

発疹は、はじめは鮮紅色扁平ですが、しだいに皮膚面に隆起が起こり、融合すると不整形斑状(斑丘疹)と呼ばれる状態になります。その後は出現した順序で脱色していきますが、この時期はカタル症状が一層強くなっており、高熱が持続します。

感染後期

発疹があらわれてから3~4日後には熱が下がるとともにカタル症状も治まり、発疹は1週間~10日ほどで消失した後、黒ずんだ色素沈着となってしばらく残ります。合併症が起こらない限りは、主症状やカタル症状も徐々に軽快していきますが、それと同時にリンパ球機能などの免疫力低下が起こるため、その間に他の感染症になると重症化しやすく、また体力等が正常な状態に戻るには1カ月ほどかかるとされています。

どうすればはしかを予防できる?

予防接種を受ける

はしかの原因となる麻疹ウイルスは感染力が非常に強力で空気感染もするため、マスク・うがい・手洗いだけでは予防できません麻疹ウイルスの感染を予防するためには、予防接種が最も効果的です。大人も接種できますので、まずは医療機関で血液検査を受け、麻疹ウイルスの抗体の有無を確認してみましょう。

特に、妊娠中にはしかに感染した場合は早産や流産の原因となるため、近々妊娠を望んでいる人は、妊娠する前に予防接種を受けましょう。予防接種を受けてから抗体が作られるまでの期間は約2週間と言われています。妊娠中は予防接種を受けることができないため、なるべく早く受けてください。

人混みを避ける

すでに妊娠しているなど、何らかの事情で予防接種を受けることができない場合は、できるだけ外出や人混みが多い場所を避けましょう。

はしかの流行地域への渡航や帰国、はしか患者との接触があった場合

はしかの流行地域へ渡航する予定のある人は、事前に予防接種を接種してください。また、流行地域から帰国した人やはしか患者と接触があった人で、はしかの感染が疑われる症状(発熱、咳、鼻水、目やに、赤い発疹など)が現れた場合は、早急に医療機関に電話をして受診する必要があります。

おわりに:はしかを予防するためにワクチンを接種しましょう

はしかは、麻疹ウイルスに感染することにより発症する疾患のことで、感染力が非常に強力なため、免疫を持たない人が感染者と閉鎖空間にいると90%以上の確率で感染するとされています。はしかを予防するには、予防接種を受けることが欠かせません。特に、近々妊娠を希望している人は、必ず妊娠前に予防接種を受けましょう。

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