記事監修医師
前田 裕斗 先生
2018/9/20
記事監修医師
前田 裕斗 先生
HPVとはどのようなウイルスなのでしょうか?薬を使用して除去することは可能なのでしょうか?HPVウイルスやその治療方法について解説していきます。
HPV(ヒトパピローマウイルス)とは、乳頭腫と呼ばれる150種類以上あるウイルスで、皮膚に付着するものと粘膜に付着するものに分けられます。
子宮頸がんの原因となるHPVは、16型と18型と呼ばれるものが多く、主に性行為によって感染します。これらの粘膜型のHPVに感染すると、病態の進行によっては子宮頸がんになることがあります。
また性行為による感染だけでなく、皮膚接触により感染することもあり、感染者の約80%は本人が気づかぬうちに感染しているとされています。また、近年は性行為開始の低年齢化に伴い、20~40代の若年層の感染者が増えています。
その他にも、尖圭(せんけい)コンジローマと呼ばれる外陰部や腟にできるイボの原因となる6型と11型のHPVも存在しており、尖圭コンジローマは性行為によって発症することが多く、男女合わせて約4万人の患者がいると言われています。
HPVに有効とされる治療薬はないのが現状ですが、ほとんどの場合は体の免疫機能によって、病変を引き起こす前にウイルスの消失または増殖が抑制されます。
また、HPV感染が持続して細胞が異常な状態に変化し、下記のような病変を起こした場合でも治療は可能です。
年代別に発症率を見ると、10~20代の女性はHPVの感染率は高いですが、子宮頸がんに至ることは少ないとされています。しかし逆に30代以上の女性はHPVの感染率は低いですが、長期にわたる感染や、前がん病変を発症する確率が高くなるとされています。
そのため子宮頸がんを予防するためには、前がん病変が進行してがんになる前に発見・治療を行うことが大切となり、細胞診やHPV検査を定期的に行う必要があります。
HPV感染の予防には、HPVワクチン(子宮頸がんワクチン、定期接種・不活化ワクチン)が有効とされており、2013年からは定期接種となりました。日本で有効とされるHPVワクチンには2種類あり、2009年12月に発売されたサーバリックス®と2011年8月に発売されたガーダシル®があります。
接種スケジュールや予防可能なVPDはワクチンの種類により異なりますが、いずれも接種は性行為開始前に行うことが望ましいとされています。推奨年齢は小学6年生~高校1年生相当で、筋肉注射で半年間に3回接種します。
詳しい接種の内容に関しては、接種を受ける小児科で相談してみましょう。小児科以外にも、産婦人科や内科で受けることも可能ですが、事前に接種できるかについて確認が必要です。
接種時の痛みの程度は他のワクチンと大差はないとされていますが、数日間にわたり筋肉痛が起こることがあります(筋肉注射のため)。
また、接種後に見られる頭痛や胃腸の不調などはプラセボ(ニセ薬)を投与したときの反応と同様で、ワクチンの接種による本来の副作用ではないとされています。
また、接種時に起こることのある失神(脳貧血)は、ワクチンの痛みによるものではなく、ワクチンに対する緊張やその緊張から解放されることにより起こるとされています。
そのため緊張しやすい人は、寝た姿勢で接種を受けたり、接種後30分程度医療機関で横になれないか、相談したりしましょう。
なお、接種後に接種部位以外で慢性疼痛やむくみ、発汗などが起こることがありますが、これらは注射という行為により起こるものと考えられており、ワクチンの成分によるものではありません。こういった症状は、子供の場合は、ある程度の時間の経過とともに回復することが多いとされています。
不安により症状が悪化することもあるため、気になる症状がある場合は医療機関に相談しましょう。
現在、HPVに有効な治療薬はありませんが、感染予防にはHPVワクチン(子宮頸がんワクチン、定期接種・不活化ワクチン)が有効とされています。性行為を行う以前の段階や年齢での接種が望ましいので、接種を希望される方は医療機関に相談してみましょう。
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