声が出なくなる原因って病気以外にもある?対処法は?

2018/12/16

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

咽頭や声帯に何らかの病変が起こると、声が出なくなることがありますよね。
でも、特にのどや声帯が病気になっていないにもかかわらず、突然声が出ない・声がしゃがれて出にくくなるなどの症状に見舞われることもあるのです。
今回は、病気以外の原因で声が出なくなる現象について、対処法とあわせて解説します。

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だんだん声が出なくなってきたのは風邪が原因?

少しずつ声のボリュームが出なくなったり、高音・低温が出なくなる原因としてまず考えられるのは、風邪の症状によるものです。
風邪によって声帯や、声帯を含む周辺組織まで含む咽頭にまでひどい炎症が広がると、声帯の開閉がうまくいかず声が出にくくなる可能性があります。

一方、風邪以外でだんだん声が出なくなるときの原因としては、仕事やカラオケによる声帯の酷使や、タバコの煙やお酒の刺激による声帯の損傷が考えられます。
この場合、声が出なくなっている原因は慢性的で長期間にわたる声帯の炎症であったり、声帯にポリープができたことで、声質が変わってきているものと推測されます。

急に声が出なくなるのも風邪のせい?

声帯の炎症やポリープなど、身体的な問題から声が出なくなる場合は、段階的に声ががすれたり、出なくなっていくのが一般的です。

対して段階的なかすれや前兆もなく、ある日突然声が出なくなるという症状は、身体的なものではなく心因性の症状である可能性が高いと考えられます。
このように、心の原因から突然声が出なくなる症状を「声帯まひ(反回神経麻痺)」や「心因性の失声」などと呼びます。

声の大きさや高低を調整している声帯は、反回神経(はんかいしんけい)と呼ばれる脳から気管支近くを通り、のどに到達している神経機関によってコントロールされています。
声帯に炎症やポリープがないのに突然声が出なくなるということは、長い反回神経のどこかに異常が起きて麻痺し、声を出す指示が声帯まで届いていないと考えられます。

このような反回神経の異常は、強いストレスやうつ状態に陥った場合の症状の一環として、現れることがあるとわかってきたのです。

声が出なくなったときの対処法は?

ここからは、声帯の炎症・異常が原因でだんだんと声がかすれて出なくなる場合と、精神的な原因から突然声が出なくなる場合に分けて、適切な対処法を解説していきます。

現れている症状にあわせて、治療法選択の参考にしてください。

だんだん声が出なくなってきた場合の対処法

身体的な原因から、徐々に声が出にくくなったりかすれたりする場合には、声帯の炎症を抑えたり、ポリープを切除する治療法が取られます。

一般的には、投薬から始めて炎症やポリープが小さくならないか様子を見て、改善しない・またはポリープが大きい場合は切除手術に踏み切ります。
また、投薬や手術とあわせて、咽頭内視鏡で声帯の動きを見ながら、ご本人が声帯を傷めにくい正しい発声方法を身に着けるための指導も行います。

突然声が出なくなった場合の対処法

まずは咽頭内視鏡やCTを使って声帯の動きを十分に観察し、声が出ない原因が本当に心因以外に考えられないか、重大な病気が潜んでいないかを検査していきます。
検査の結果、身体的な病気が原因ではないと判断される場合には心因性の症状と断定され、心療内科や精神面に配慮のある耳鼻咽喉科などで治療していくことになります。

おわりに:声が出なくなる原因は風邪や声帯の病気の他、心因性の可能性も

声がだんだん出なくなる原因としては、風邪をはじめ声帯の炎症やポリープなどの身体的な病気が代表的です。しかし、突然声が出なくなる場合には、ストレスやうつ症状の一環として、心因性で起こる可能性が高いと考えられています。身体的疾患と心因性のもの、どちらの原因で声を失っているかによって適切な対処法や治療も異なりますので、まずは耳鼻咽喉科や内科の病院に行って、診てもらってください。

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