記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
横隔膜に空いた食道が通るための穴から、本来であれば横隔膜内に収まっているはずの胃の一部が飛び出してしまう「食道裂孔ヘルニア」という病気。
誰にでも発症し得る病気ですが、発症後はどんなことに気をつけるべきなのでしょうか。
今回は食道裂孔ヘルニアになったときの食事で、気をつけるべきポイントについてご紹介します。
食道裂孔ヘルニアになったときは、以下のポイントに注意して、食事中・食事の前後の習慣や、摂取する飲食物を見直す必要があります。
横隔膜外への胃のはみだしや、胃液の逆流を極力防ぐために、脂質や糖質の多い揚げ物やお菓子ばかり食べたり、満腹まで食べ続けることはやめてください。
また、強い酸味・甘味・刺激も胃液の逆流を誘発しますので、以下のような飲食物の摂取も控えるようにしましょう。
食道と胃への移行部にある筋肉「食道下部括約筋」を緩め、ヘルニアを誘発するアルコール・コーヒー・紅茶に含まれるカフェインの摂取も、できるだけ控えてください。
肥満による胸部・腹部の圧迫も、食道裂孔ヘルニアの一因となり得ます。
食事量を腹八分目に抑えるとともに、1日で合計30分程度の適度な運動を習慣づけて皮下脂肪・内臓脂肪を燃焼させ、肥満の解消に努めてください。
食道裂孔ヘルニア発症時に食べてすぐ横になると、飛び出した胃に消化中の食べ物や胃液が逆流し、胸やけや嘔吐を起こすことがあります。
食べてすぐ横になるのは避けて、上半身を起こしたような姿勢になるよう調整しましょう。
食道裂孔ヘルニア発症時は、食事中の姿勢にも注意が必要です。
猫背から前かがみになったり、ベルトやコルセット、ガードル、帯などで胃部・胸部を圧迫する姿勢は、胃の内容物の逆流や吐き気を誘発します。
また、タバコの煙も逆流性食道炎を悪化させるといわれています。食事と生活の習慣を改め、食道裂孔ヘルニアと逆流性食道炎の症状を改善したいなら禁煙も欠かせませんので、覚えておいてくださいね。
食道裂孔ヘルニアを発症すると、胃液や胃の内容物が食道まで逆流する逆流性食道炎の症状が、慢性的にみられるようになります。
このため、普段の食事においても逆流性食道炎を悪化させやすい飲食物は避け、体を締め付けない服装や姿勢の徹底や、禁煙による生活改善が欠かせません。今日からでも食事の内容や食事中・食事前後の姿勢や習慣を改めていってくださいね。
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