緩和ケアチームのメンバーって、医師・看護師以外にどんな人がいる?

2019/1/7

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士

三上 貴浩 先生

病気そのものの治療ではなく、病気による苦痛を和らげる目的で行う緩和ケア。緩和ケア病棟の入院患者とその家族には、医師をはじめ複数の医療関係者から成るチームで、緩和ケアにあたります。この記事では、緩和ケアのチーム構成、メンバーについて解説します。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
冷凍宅配食の「ナッシュ」

緩和ケアチームとは

まずはじめに、緩和ケアの目的と対象者、複数名で提供する目的を解説します。

緩和ケア医療の目的

緩和ケアは、治療では回復が難しい場合や根治が見込めない場合に、病気による苦痛を和らげる目的で行われる治療です。「病気による苦痛」には、患者本人の肉体的な痛みのほか、死や病気による苦しみに対して日々向き合うことに対する精神的苦痛も含まれています。

また、患者本人だけでなく、大切な人が苦しむ姿を目の当たりにし、その人を失う恐怖に苦痛を感じている家族も緩和ケアの対象になります。

具体的には、患者と家族に残された時間の人生の質を高める目的で、モルヒネを始めとする痛み止めの投与やマッサージ、日常生活の補助、心理的ケアなどを行います。

緩和ケアを受けられる人

緩和ケアを受けられるのは、以下のような患者とその家族です。

  • 医師から余命宣告を受けた人
  • 病気の治癒を目的とした治療よりも、緩和ケアを希望する人
  • 緩和ケアの方針に共感し、同意できる人
  • 病状から自宅でのケアが難しく、入院での緩和ケアを望む人

緩和ケアをチームで行う理由

繰り返しになりますが、緩和ケアは患者とその家族が残された人生を悔いなく、自分らしく生きられるよう、全般的にサポートするための医療です。医師や看護師など特定分野の専門家が1人で実践することは難しいため、複数の医療関係者がそれぞれの得意分野を活かし、チームを組んでケアを提供します。

複数の医療分野の専門家が集まって、はじめて終末期を控えた患者とその家族を全般的にサポートできる医療体制を整えることができるのです。

緩和ケアチームのメンバーは?

緩和ケアのチームメンバーとなるのは、以下に挙げる専門家です。

医師
病態の把握と治療方針を決定し、治療をすすめる
看護師
医師と連携して、患者の心身の苦痛を和らげる処置を行う
医療ソーシャルワーカー
病気や治療、福祉サービスなどについて、相談やアドバイスを行う
管理栄養士
患者の体調や栄養状態に合わせて、満足いく食事を考え提供する
救急救命士
患者が他の場所での療養を希望する場合、環境を整えて搬送する
作業療法士
姿勢の調整やマッサージなどで、患者の身体的苦痛を和らげる
歯科医師
患者と家族の意向を踏まえつつ、患者の口腔内の健康管理をする
歯科衛生士
歯科医師と連携し、患者の口腔内の掃除や健康管理を行う
診療放射線技師
放射線治療を行って、骨転移による体の痛みを和らげる
理学療法士
物理的な処置や呼吸法の指導など、主に体の機能保持を行う
臨床検査技師
体調や病状の確認のために、さまざまな検査を行う
臨床心理士
患者と家族が感じている病気の苦痛や死の恐怖を和らげる手助けをする

おわりに:緩和ケアチームは各分野の専門家が集まった緩和ケアプロ集団

通常の病気治療と異なり、緩和ケアは病気の治癒ではなく病気による心身の苦痛を少しでも和らげ、患者と家族の人生を豊かにするために行われる治療です。病状だけでなく、病気による体の痛みや息苦しさ、精神的苦痛まで幅広く緩和する必要があるため、医師や看護師だけでなく各分野の医療専門家によるチームによって行われます。多くの医療関係者がやってきても驚かずに、安心してケアを受けてくださいね。

関連記事

この記事に含まれるキーワード

緩和ケア(15) 緩和ケアチーム(2) 終末期医療(1)