オフィスが乾燥する原因は暖房以外にも! 対策は加湿器だけでは不十分!?

2019/1/4

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士

三上 貴浩 先生

冬になると、勤め先のオフィスで喉や肌の乾燥を実感する人は多いですよね。対策として加湿器を導入しているオフィスもありますが、これでは不十分なケースも多いようです。
今回は暖房以外に考えられるオフィスの乾燥の原因や、おすすめの乾燥対策をご紹介します。

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オフィスが乾燥する原因は暖房?

冬のオフィスの空気が乾燥する原因の1つが、暖房であることは間違いありません。
多くのオフィスが採用しているエアコンでの暖房では、外または室内の空気を取り込み、温めてから部屋に送風するため、水蒸気が発生せず空気中の水分はどんどん少なくなります。

また暖房機器以外にも、オフィスビルのほとんどが空調効率を上げるため、外の空気を遮断できる気密性の高い設計になっていることも大きく関係しています。さらに、従業員が使用するパソコンが発する熱も、年間を通して部屋を暖め湿度を下げるため、空気を乾燥させる理由の1つとなります。

このように、オフィスには暖房の仕組み・建物の機密性・常設のパソコンの発する熱まで、空気を乾燥させる要因がたくさんそろっているのです。

実際オフィスってどれだけ乾燥しているの?

労働安全衛生総合研究所では2013年に首都圏(4事業所、全105か所)を対象に、平日の勤務時間帯のオフィス内の温度・湿度に関する調査を行っています。

同調査結果によると、平日9:00~18:00までの間で温度に対しての湿度の割合(相対湿度)が基準値の40%未満だった事業所は、全体の3~4割にも達していました。

このことからも、都市部の多くの高層オフィスビルが冬季には乾燥した状態になっており、労働環境改善のためにも早急な乾燥対策が必要であることがわかります。

暖房によるオフィスの乾燥、対策はやっぱり「加湿」?

一般家庭と同様、オフィスでの空調による乾燥対策として加湿器を導入・稼働させている企業も、少なくないでしょう。
しかし一般家庭とは異なり広い空間を対象に加湿器を使う場合、複数台同時に利用するか、部屋の広さに合った加湿器を使わない限り、十分な加湿効果は見込めません

このため近年では、オフィスの乾燥対策には湿度調整機能付きの空調システムの利用が、とても望ましい方法であると考えられています。
湿度調整機能付きの空調システムを利用することで、オフィス全体を効率的に基準値である相対湿度40~70%に保てるようになるのです。

ただし湿度調整機能付き空調システムの導入には、オフィスビルを挙げての設備投資と工事が必要になるため、1事業所の希望だけでは実現が難しい面もあります。
当面、湿度調整機能付き空調の導入が見込めない場合は、家庭用・個人用の加湿器やマスク着用により、喉と肌を乾燥から守ると良いでしょう。

オフィスの暖房による乾燥肌、おすすめの対策は?

オフィスの乾燥による肌のカサつきをケアするには、まずはしっかりとした休息と規則正しい生活、そして日々お肌を保湿ケアしてあげることが重要です。
日中、乾燥したオフィスのなかでできることとしては、小型の加湿器やミスト型の化粧水を肌に吹きかけたり、化粧直しで乳液など保湿性の高いものを使用するのがおすすめです。

おわりに:オフィスを乾燥させる要因は暖房・機密性・PCの熱などたくさん!

冬のオフィス内の空気の乾燥は、水蒸気を出さずに空気を温めるエアコン暖房、外気を通さない気密性の高い設計、そしてパソコンが熱を発するなどの要因から起こります。このような事態を打開し、従業員の労働環境とパフォーマンスを向上させるには、湿度調整機能付きの空調システムの導入が望ましいとされます。ただしコストなどの観点から、新しい空調システムの導入が難しいときは、加湿器やマスクなど個人でできる乾燥対策で乗り切りましょう。

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