記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
健康診断でコレステロール値が高いことを指摘されたら、すぐに対策を始めたいところ。でも、忙しくて大幅に生活習慣を見直すことが難しいときは、まずはふだんの飲み物から見直してみるのはいかがでしょうか。今回はコレステロール値を下げる作用のある飲み物について、ご紹介します。
ひとくちにコレステロールと言っても、一般的に悪玉と呼ばれるLDLコレステロールと、善玉と呼ばれるHDLコレステロールの2種類があります。
つまり「コレステロール=すべて悪」というわけではなく、悪玉であるLDLコレステロールが増えすぎ、HDLとのバランスが崩れると健康を害する恐れがある、ということです。このため、LDLとHDLのバランスがとれていたり、HDLコレステロールの数値が高い場合は、余分なコレステロール減少につながるため良い状態とされるのです。
ちなみに、コーヒーには善玉であるHSLコレステロールを増やし、血中のコレステロールの代謝を促してLDLコレステロールを減らす働きがあると期待されています。
コーヒーがHDLとLDLのコレステロール値のバランスを整え、コレステロールのコントロールに役立つのは、ポリフェノールの働きによるものです。
悪玉であるLDLコレステロールは、活性酸素によって酸化するとマクロファージという組織に貪食されて、泡沫化(ほうまつか)マクロファージとなります。この泡沫化マクロファージはやがて動脈硬化を引き起こすものですが、ポリフェノールには活性酸素を消去し、LDLを酸化させないようにする作用があるのです。
さらにこの作用は、HDLコレステロールの代謝にも役立っています。
次に、体に悪影響を及ぼすLDLコレステロールを下げるのに効果的な飲み物として挙げられるのが、緑茶です。これは、緑茶に含まれる渋み成分「カテキン」に、血中のHDLコレステロールは残しつつ、LDLコレステロールや中性脂肪のみ減少させる作用がある可能性があるためです。
カテキンがLDLコレステロールと中性脂肪を下げるメカニズムとしては、カテキンの作用によって、食事からのコレステロール吸収を抑制するためと考えられています。
過去には、血中のコレステロール値が高いことを指摘された方が、朝夕の1日2回、200mlずつ食事で緑茶を飲み、変化を観察するという実験も行われました。この結果、緑茶の摂取を始めてから2カ月後にはLDLコレステロールが減少し、HDLコレステロールとのバランスが改善された、というデータも報告されています。
トマトジュースも、血中のLDLコレステロール値の減少と、HDLコレステロールとのバランス改善におすすめの飲み物です。これは、トマトジュースに含まれているリコピンという成分に、継続的に摂取するとHDLコレステロールを増やす効果がある可能性があるためです。
なお、ケチャップやトマトジュースを製造・販売するメーカーの調査によると、トマトジュースに含まれるリコピンは、朝8時に朝食として摂取するのが最も効率が良いとされています。毎朝の朝食の習慣として、継続的に生活に取り入れると良いでしょう。
コレステロールの値を正常値に戻したいなら、悪玉とされるLDLコレステロールを減らすとともに、善玉と呼ばれるHDLコレステロールを増やして、バランスを良くする必要があります。このために飲み物を選ぶなら、ポリフェノールを含むコーヒー、カテキンを含む緑茶、リコピンを含むトマトジュースを生活に取り入れるのがおすすめです。あなたの好みにあわせて、少しずつ日々の生活のなかに取り入れてください。
この記事の続きはこちら