記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
健康診断で指摘されたコレステロールの数値は、食生活や運動習慣の改善の他、漢方薬の服用でも下げられるかもしれません。
今回は、コレステロール値の改善に漢方がもたらす効果と、おすすめの漢方薬の種類について、解説していきます。
コレステロール値のうち、特に体の隅々にまで行き渡って蓄積されていくLDL(悪玉)コレステロールが増えすぎると、脂質異常症を引き起こすといわれています。
脂質異常症は、血中に存在するLDLコレステロールや中性脂肪の量が以上に増えて、やがては動脈硬化や心筋梗塞の原因ともなる病気です。脂質異常症、そしてこれを引き起こすLDLコレステロールや中性脂肪値の増加は、西洋医学的には食事や運動療法、投薬などで治療していくのが一般的です。
一方で、東洋医学的な考え方によっても、食事療法や運動療法とあわせて漢方を処方することで、コレステロール値を下げることができると考えられています。
血中のコレステロール値の減少に漢方薬が効果的、ということがわかったところで、ここからは具体的にどの漢方薬が効果的なのか見ていきましょう。
まず、コレステロール値のコントロールに効果的な漢方薬としてご紹介するのが、大柴胡湯(だいさいことう)という漢方薬です。良質な油の一種である「サイコサポニン」を豊富に含む柴胡を主原料に、オウゴン、ダイオウ、キジツ、タイソウ、シャクヤク、ハンゲ、ショウキョウなどがブレンドされています。
東洋医学的な知見で見ると、以下のようなケースに処方されることが多い漢方です。
食事をエネルギーに変える際、そして食事によって吸収・合成された脂質やコレステロールの代謝と、排出するのを助ける作用があります。
次に、血中のコレステロール値のコントロールに効果的な漢方としてご紹介するのは、防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)です。ボウフウ、シャクヤク、トウキ、サンシシ、センキュウ、レンギョウ、ダイオウ、マオウなど18種類の生薬をブレンドされています。
東洋医学的な知見からは、以下のような場合に処方されている漢方薬です。
既についている脂肪細胞を分解・燃焼させ、脂質やコレステロールを尿や便として体外へ派出する量を増やす効果があります。
西洋医学的な投薬などのアプローチのほかに、食事の改善や運動療法とあわせて、東洋医学的な漢方薬を使用することでも、コレステロール値は下げられるといわれています。特に効果的なのは大柴胡湯と防風通聖散の2つで、それぞれ脂質・コレステロールの代謝や燃焼、そして体外への排出を促す効果があります。ただし、漢方薬の効き目には個人差が大きいので、医師や薬剤師に相談しながら服用を続けてください
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