胃や腸、食道から出血する、消化管出血ってどんな病気?

2017/12/7 記事改定日: 2018/9/17
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

消化管は、口から始まり、食道、胃、腸を通って肛門で終わります。この消化管のどこかで血が出ることを、消化管出血といいます。
この記事では、消化管出血を引き起こす原因疾患と、出血に伴う症状について解説していきます。

消化管出血とは!?

消化管は、食物を摂取し消化吸収した後に排泄するための臓器で、口から順に、食道、胃、小腸、大腸(結腸・直腸・肛門)が該当します。消化管出血とはこれらの臓器から出血することで、口から血を吐く吐血、肛門から排泄される下血の症状が現れます。

出血の原因は、上部消化管では胃潰瘍や胃静脈瘤、出血性胃炎、下部消化管では大腸炎、大腸ポリープ、大腸癌、大腸憩室炎など、多岐に渡ります。原因と出血する部位によって、出血量、様態、持続期間はさまざまです。

食道・胃・十二指腸から出血があるときの症状

吐血

口に近い上部消化管である食道や胃、十二指腸から短時間に多量に出血すると、口から血を吐くことがあります。色は、血が胃にとどまっている時間が長いほど胃酸に消化されて黒色がかり、胃にとどまる時間が短いほど鮮やかな赤色に近くなります。

出血の代表的な原因としては、胃や十二指腸の潰瘍が挙げられます。これはヘリコバクターピロリ菌への感染や、他の病気の治療のためアスピリンをはじめとする消炎鎮痛剤、血液をさらさらにしたり固まりにくくする抗血栓薬の使用などが主な要因と考えられます。
また慢性肝臓病を患っている人の場合は、食道や胃の静脈瘤の破裂による出血などが考えられます。

下血(血便)

一方、出血量が少量の場合、吐血はまれで、便に血が混じることが多くなります。消化の影響を受けたことで、色は墨のような黒色をしていることが多く、コールタールに似ているためタール便と呼ばれます。原因として胃や十二指腸の潰瘍に加え、胃癌が疑われます。

小腸・大腸から出血があるときの症状

下血(血便)

小腸や大腸から出血すると、便に血が混じります。
血の色は出血の部位と量に応じて変化します。一般的には、排泄までに時間がかかる小腸の出血はより黒色に、排泄まで時間が短い大腸の出血はより赤色に近くなるといわれています。
大腸の出血原因としては、加齢により形成される大腸壁の異常である大腸憩室、大腸ポリープや大腸癌など腫瘍からの出血が考えられます。

上部消化管や大腸に比べると、その間にある小腸から出血することはまれです。小腸は長さが3mほどあり、出血部位や出血量によって症状は異なります。潰瘍や腫瘍、血管異形成と呼ばれる粘膜血管のわずかな異常が、出血の原因の一例として挙げられます。また近年は、消炎鎮痛剤や抗血栓薬を原因とする小腸の潰瘍による出血も増加しているといわれています。

吐血も下血(血便)も深刻な病気の兆候の可能性が!?

消化管出血は体の深部からの出血のため少量の出血では気づきにくく、また自分で止血措置を施すことができません。一度に大量出血をきたすと重篤な状態になりかねず、緊急に内視鏡や手術による治療が必要となります。治療方法は原因疾患によって異なるため、速やかに原因を特定することが重要です。

貧血にも注意が必要!

はっきりした吐血や下血がない場合でも、食道や胃、腸からじわじわと出血を生じている場合、貧血症状が見られることがあります。

このような消化管出血による貧血は徐々に進行していくため、貧血症状に気づかないことも少なくありません。しかし、以前に比べて疲れやすくなった、動くと息切れや動悸がする、立ちくらみやめまいが生じやすくなったなどの症状がある時は注意が必要です。また、黒っぽい便が出たり、「アッカンベー」をして下まぶたが白っぽい場合は消化管出血による貧血が生じている可能性があるといえます。

気になる症状がある場合は早めに病院を受診して、検査・治療を受けるようにしましょう。

おわりに:他の症状がなくても出血は体の異常のサイン。必ず病院で検査を

出血の原因の多くは腹痛などの自覚症状がなく、出血により初めて病気に気づくことが珍しくありません。便潜血検査といった検診の機会を大切にすると共に、普段から便の色をよく観察し、早期に異常を発見して病院で適切な検査を受けることが大事です。
また、はっきりとして吐血や下血(血便)がなくても、最近貧血が多い、疲れやすくなったという人は、念のため検査を受けるようにしましょう。

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