食欲不振を引き起こす病気って何?病院には行った方がいいの?

2018/1/4 記事改定日: 2018/12/4
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

なんだか食欲がわかない日がずっと続いている――そんな「食欲不振」の状態は、隠れた病気のサインなのでしょうか?病院へは行った方がいいのでしょか?
以降で解説していきます。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
冷凍宅配食の「ナッシュ」

食欲不振はどんな症状?

食欲不振とは、食べ物を摂取したい気持ちが何らかの理由で失われたり、低下したりしている状態です。一時的な食欲不振ならば大きな問題にならないことも多いですが、長く続くようになると栄養失調へとつながる可能性があります。
また、食欲不振が何らかの病気のシグナルになっていることもあるので、その要因を特定することが大切です。

そして、食欲不振は精神的な影響から発生することもあります。仕事のストレスや失敗を理由にご飯を食べたくなる方もいます。そういった症状は基本的には一時的なもので、徐々に改善していくことが多いですが、精神的な理由での食欲不振が1週間以上続くようなら、なんらかの対処をすることをおすすめします。

食欲不振を引き起こす病気とは!?

病気を原因で食欲不振になっていることも少なくありません。
食欲不振を引き起こす病気としては、まず慢性胃炎が挙げられます。
慢性胃炎はピロリ菌の感染や非ステロイド性抗炎症薬の副作用、慢性的なストレスなどを原因として発生します。
胃の粘膜が弱まり、炎症が繰り返されることで治りにくくなります。胃痛や胸焼け、吐き気、げっぷなどの症状が慢性的に繰り返されるので食欲不振となります。

ほかには風邪やインフルエンザも、食欲不振の原因となるものの1つです。風邪やインフルエンザのウイルスが侵入すると体の免疫機能が活性化され、発熱やだるさ、倦怠感が起こるようになります。またほかに、風邪に伴う消化機能の低下や、そもそも体調が悪くて食べる気力が湧かないことも、食欲減退の原因です。

心理的ストレスや心の病気が食欲不振を引き起こすことも!

心理的なストレスは食欲を増進させることも減退させることもあります。何かショックな出来事があった時にやけ食いしてしまうという方もいれば、何も食べたくないという方もいます。ひどい場合は、食事を一口も食べられないというケースもあります。

強いプレッシャーのかかる日など、自分が食欲を失うタイミングがある程度予測できたら、積極的に好きなおかずを買うといった対処法がおすすめです。心理的ストレスが原因で食欲不振になっている場合は極力自分の好きな食べ物を用意し、食べるようにすると食欲が回復する可能性があります。

食欲不振を引き起こす治療が難しい病気、危険な病気にはどんなものがある?

食欲不振は日常的にありふれた症状の一つですが、中には命の危険があるような深刻な病気が原因のこともあります。

最も代表的なものでは、胃がん大腸がんなど消化器のがんが挙げられます。消化器のがんは進行すると消化管出血を引き起こし、周辺臓器への浸潤や転移を生じ、手術での切除が難しいことがあります。また、肝硬変や肝臓がんなどによる肝機能の低下も食欲不振の原因となります。
慢性肝炎から肝硬変の状態になった肝臓は元の状態に戻ることはなく、治療・完治が難しい上に数年で肝臓がんに進行する可能性が高い病気です。

これらの病気は早期発見・早期治療によって治すことができる場合もあるため、食欲不振など体調の変化を感じた場合はなるべく早く病院を受診するようにしましょう。

たかが食欲不振と甘く考えてはいけない。病院に相談すべきタイミングは?

意識的に食欲を抑えているわけではないのに、食欲不振の日が続く場合は医療機関を受診する必要があります。
食欲不振が消化器官の疾病に関するサインになっている可能性があるからです。もし疾病でなかったとしても、疾病でないことが分かることで精神的に落ち着けることもあります。自分の中で食欲不振になった原因に見当がつく場合は、対応する診療科に受診すると効果が高くなります。

精神的なストレスが理由で食欲が減退しているという場合は、精神科を受診することも選択肢に入ります。プレッシャーのかかる日や強いストレスがあった日など、特定の日だけ食欲がないという場合にはそれほどの問題はありませんが、1週間近く食欲がないという場合は病院に相談した方がいいでしょう。

おわりに:食欲不振が続いたときは、念のため医師に検査してもらおう!

慢性胃炎や風邪などの病気だけでなく、ストレスによっても食欲不振が引き起こされることがあります。
食欲不振は長期化すると、栄養失調や免疫力の低下などにつながる恐れがあるので、長引いている場合は一度病院を受診してください。

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