肺の真菌症ってどんな病気?治療期間はどれくらいなの?

2018/8/27 記事改定日: 2018/11/27
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山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

特に高齢者やヘビースモーカーの方は感染に注意が必要な、「肺真菌症」をご存知ですか? 近年の高齢化社会に伴い、感染者数が増加傾向にある感染症です。今回はこの肺真菌症について、症状や原因、治療法などをお伝えしていきます。

肺の真菌症とは?どんな症状が出るの?

「真菌」とはカビの仲間の総称で、空気中に浮いている真菌を吸い込んだことで発症する感染症を「肺真菌症」といいます。近年患者数が増加傾向にあり、アスペルギルス、クリプトコッカス、ムーコルなどの種類の真菌によって引き起こされます。

肺真菌症の主な症状は、以下の通りです。

  • 発熱
  • たん、血痰
  • 呼吸困難
  • 胸痛
  • 倦怠感

結核肺炎の症状とよく似ているため、真菌が原因とは疑いにくい場合もあります。症状は急激に進む場合と緩やかに進行する場合があり、これは原因となる真菌の種類によって違ってきます。

肺の真菌症の原因は?

真菌にはさまざま種類がありますが、肺真菌症をもたらす主な真菌は、アスペルギルス、クリプトコッカス、ムーコルなどです。中でも多いのはアスペルギルスによる肺真菌症で、これは肺アスペルギルス症とも呼ばれます。

アスペルギルス、クリプトコッカス、ムーコルはその多くが、土壌などの環境中に存在する真菌で、その酵母などが空気中に飛散し、それを人が吸収することで肺へと感染します。

ただ、健康な人が突然肺真菌症にかかることはほとんどありません。基本的には、免疫抑制剤やステロイド剤を服用中であったり、がん治療中などで免疫力が低下している人が発症することのある感染症です(クリプトコッカス菌は、健康な人にも感染することがあります)。

また、上記の服薬や治療を行っていなくても、昔肺炎や結核にかかったことがあり、肺に空洞などの後遺症が残っている人や、ヘビースモーカーで肺気腫を起こしてしまっている人は、肺の防御システムが弱っており、肺真菌症を起こしやすいので注意が必要です。

肺の真菌症を治療するには?

アスペルギルスなどの真菌は肺に病巣をつくるので、ご紹介したような症状が現れたら、まずは呼吸器科を受診してください。感染症科もおすすめです。

検査

肺真菌症は、肺内に球状の塊のような病変を形成することが多いです。このため、レントゲンやCTなどの画像検査によって病巣を発見することが可能です。

しかし、画像検査だけではその病変が真菌症によるものなのか確定することはできません。真菌症を確定するには、真菌に感染すると血液中に上昇するβ-Dグルカンと呼ばれる物質の数値を調べるための血液検査が行われ、真菌の種類を調べるには気管支鏡検査を行って病変の一部を採取し、病理検査を行う必要があります。

治療

検査で肺真菌症が判明した場合は、基本的には抗真菌薬による服薬・点滴治療が進められます。ただ、肺アスペルギルス症など病巣が一箇所に限定されている場合は、切除手術を行います。

肺真菌症の治療期間はどれくらい?

肺真菌症の治療は基本的には抗真菌薬による薬物療法が行われます。軽度な場合には内服薬が用いられますが、高熱や激しい咳嗽などの症状がある場合には点滴による治療が行われます。
治療期間は、重症度や患者の免疫力などの状態によって異なり、2週間~2か月程度で治療を完了するのが一般的です。

一方、手術を行う場合には完治するまでに1か月程度かかることが多いとされています。

おわりに:免疫力が低下している人は感染リスクの高い肺真菌症。異変が見られたらすぐ病院へ

肺真菌症の原因菌はどこにでも存在している菌のため、誰でも感染の可能性はあります。特に免疫力が低下している人や肺の病気の既往がある人は感染リスクが高く、発見が遅れた場合は治療が難しくなるともいわれています。血痰や咳など気になる症状が見られたら、早めに呼吸器科などを受診してください。

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