記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/8/24
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
痛みはないけれど排便時の出血量が多い場合、原因としては切れ痔の可能性が高いのでしょうか?切れ痔といぼ痔、それぞれの痔の特徴や治療法について解説していきます。
切れ痔(裂肛)とは、肛門が切れて傷ついている状態のことで、臀部が冷えていたり、肛門括約筋の弛緩が十分に機能しないことにより起こります。またトイレットペーパーで強く拭くことが原因となり、肛門上皮が硬くなる・柔軟性の減少などが起こると、裂肛になりやすくなるといわれています。
切れ痔の初期状態である浅い裂傷を何度も繰り返すと、肛門ポリープや見張りイボなどの瘢痕組織ができる原因となり、慢性裂肛となります。そして慢性裂肛が長期間続くと、裂傷部分が硬くなり柔軟性が減少して、便が細くなることもあります。さらに、傷の内側に肛門ポリープや見張りイボなどができることにより、裂傷の周辺部分が硬く繊維化すると、肛門輪が狭くなる肛門狭窄となります。
切れ痔は主に、便秘による硬い便が排便時に肛門を傷つけることにより起こるため、慢性的に便秘症がある人は裂肛になりやすくなります。
また、肛門部皮膚に裂肛になりやすい性状がある場合(硬い、薄い、傷があるなど)や、肛門括約筋の弛緩が不十分であることなども原因となることがあります。
切れ痔は、感覚に敏感な肛門上皮に傷ができるため、排便時には強い痛みを伴い、出血することもあります。ただし、切れ痔で起こる出血の量は少量の場合が多く、トイレットペーパーに付着する程度だとされています。また、痛みを感じる部分に傷かできるのも切れ痔の特徴です。
ただし、もし強くいきんだ際に真っ赤な血が噴き出すように出た場合は、切れ痔ではなくいぼ痔(内痔核)の可能性があるので注意が必要です。いずれにしても、排便時に血が出たときはほかの病気の可能性があるので、自己判断せず必ず病院で診てもらいましょう。
いぼ痔とは、静脈が血流低下・うっ血している状態で、静脈が拡張したもので、その発生場所により内痔核と外痔核に分類されます。それぞれの違いは下記の通りです。
いぼ痔は、排便時に強くいきむことや、加齢、長時間同じ姿勢を続けることによる肛門への荷重、不摂生、ストレスなどが原因となり起こるとされています。
特に女性の場合は、妊娠時に赤ちゃんの重さにより肛門に圧力がかかり便秘になりやすく、出産時に強くいきむことなど発症の機会が多いために、男性よりもいぼ痔になりやすいといわれています。
内痔核の治療では、便通を整え、症状に応じて鎮痛剤や抗炎症剤の坐薬や軟膏を使用し、いぼを小さくしていくことが一般的です。
ただし、出血量が多い場合や痛みが強い場合は、手術治療を検討する必要があります。手術は一般的には、痔核のみを切除する結紮切除術が主な治療法となっています。
結紮切除術は
の手順で進められます。
なお、痔核が一箇所のみで比較的小さく、肛門の狭窄や強い痛みがない場合は、日帰りで手術を行えることがありますが、数箇所に痔核がある、痔核が巨大、肛門の狭窄や強い痛みがある場合は、入院治療が推奨されます。
外痔核の治療は、初期の状態であれば温めて血行をよくしたり、軟膏や坐薬を使用することで症状が改善することが多いです。ただし、痔核が巨大になり痛みが強い場合は、血栓を除去する手術を行う必要があります。
切れ痔の出血量は少量の場合が多く、トイレットペーパーに付着する程度とされています。また、痛みを感じる部分に傷ができるのも切れ痔の特徴です。排便時に真っ赤な血が噴き出したり、痛みを伴わない場合はいぼ痔の可能性が高くなります。
気になる症状がある場合は、悪化する前に医療機関で診てもらいましょう。
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