赤ちゃんを待ち望んでいるけれど、なぜかその日がやってこない。こうした悩みをお持ちのとき「不妊症」という言葉が頭をよぎることはありませんか? 「治療を始めた方がいいのかな」と思ったら、まずは不妊症についての正しい知識を身につけることから始めましょう。
希望通りに妊娠しないからといって、不妊症だとは限りません。不妊とは「妊娠を望む健康な男女が、避妊をせずに性生活をしているのに、一定期間が経っても妊娠しない」状態をいいます。「一定期間」は、日本産科婦人科学会とWHO(世界保健機関)によると「1年以内」と定義されています。
不妊に悩む方のために、厚生労働省は「不妊専門相談センター」の設置や治療支援事業を行っています。現代社会では多くの人が不妊症に関心を持っており、さまざまな対応がとられているのです。
不妊の症状になりやすいのはどんな人?
不妊症は男女どちらにも起こりえます。以下では、男女それぞれにみられる不妊を引き起こしやすい症状を紹介します。当てはまる症状がみられたら、病院を受診してください。
また、35歳以上の女性は妊娠するために必要な体の機能が低下していることが多いので、該当する年齢の方は妊娠を希望される場合は以下の症状の有無を問わず病院に相談しましょう。
~ 女性 ~
- 月経の異常や変化
- 月経周期に異常があると、排卵が正常に行なわれていない可能性が高いです。月経の間隔が長い(39日以上)または短い(24日以内)、月経がほぼこない(90日以上空く)という方がこれに当たります。
また、経血量が極端に少ない、または期間が短い(2日以内)と、排卵が正常に行なわれていないことがあります。
反対に、経血量が極端に多い、または月経の期間が長い(8日以上)場合も、子宮筋腫などを持っている可能性があります。
そのほか、痩せすぎや極端な肥満の体型の人も、月経周期が乱れやすいです。
- 子宮内膜症、子宮筋腫
- 不妊の原因になりうる「子宮内膜症」は20~30代に多くみられる病気です。月経の痛みが強い、若い頃より痛みが強くなったなどの症状がみられると子宮内膜症を発症している可能性があります。すでに健康診断で子宮内膜症と診断されていたら、早めに病院に相談しましょう。子宮に良性の腫瘍がみられる「子宮筋腫」の方も病院に相談してください。
- 感染症
- 性病(性器クラミジアや淋菌などの性感染症)、細菌感染症(骨盤腹膜炎)に罹ったことがある方は、卵管に炎症を起こしているかもしれません。卵管は、卵子を卵巣から子宮へと運ぶ管ですので、炎症が発生すると不妊の原因になることがあります。
- そのほか
- 過去に人工妊娠中絶手術や流産の処置を受けたことがあると、子宮の内腔に癒着がみられる場合があります。
~ 男性 ~
- 小児の病気
- 「鼠径ヘルニア」や「停留睾丸」の手術を子供の頃に受けていると精子の数が少なくなるなどの症状があらわれることがあります。
「おたふく風邪」で高熱が続いたり睾丸炎を起こしたりした場合、精子をつくる機能が低下している可能性があります。
「がん治療」を子供の頃に受けた結果、精子をつくる機能が大きく低下してしまうことがあります。
- 糖尿病
- 「糖尿病」は、勃起障害や射精障害など性機能障害を引き起こします。重症化すると、精子をつくる機能が低下するといわれています。
病院に行ってみようかな、と思ったときにやっておくといいことは?
不妊の原因を正しく特定するために、女性は基礎体温の測定と記録を習慣にしておきましょう。受診してから医師に指示されることではありますが、あらかじめ基礎体温をつけておくことで治療がよりスムーズに進みます。男性も病院選びをするなど、治療を受ける準備を整えておくと安心です。
おわりに:不妊の原因は人それぞれ。心当たりがあるなら受診しましょう
子供を授かるための準備は前向きにしていきたいものですよね。不妊の原因は、男女ともに人それぞれです。ひとりで悩まず、不安を感じたら早めに医師に相談してくださいね。
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