市販の胃腸薬でおすすめなのは? 選び方のポイントを教えます

2018/12/12

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

ドラッグストアだけでなく、近年では医薬品コーナーを設けたコンビニも増えてきており、市販薬は非常に手近な存在になってきています。ただそこで注意したいのが、市販薬の選び方。合わない薬を買ってしまうと、思うような効果が得られなかったり、症状が悪化したりする恐れがあるからです。
今回は、市販の「胃腸薬」について、選び方のポイントやおすすめのものを紹介していきます。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
冷凍宅配食の「ナッシュ」

市販の胃腸薬、選ぶ際は「症状」に注目を

「昨日飲みすぎたせいで胃もたれがひどい」「胃がキリキリする」「胃酸が逆流してくる」など、胃腸の症状はかなり幅が広いです。そして、それぞれの症状によって選ぶべき薬は異なっていきます。

キリキリした胃痛や胃酸の逆流に適した胃腸薬は?

キリキリとした胃痛や胃酸の逆流は、胃液の分泌が多くなりすぎているサインです。胃液によって胃壁が荒らされ、炎症や潰瘍が起きている、あるいは起こりかかっているために痛みが生じているのだと思われます。こうした症状の場合、適しているのは以下の種類の薬です。

鎮痙薬
胃の痙攣を抑制する薬。ブスコパン®A錠、サクロン®Q、ストパン®などが該当する。
H2ブロッカー薬
胃酸を分泌させるヒスタミン H2受容体の働きを阻害する薬。ファモチジン錠、ガスター10®、イノセア®ワンブロックなどが該当する。
制酸薬
胃酸を中和する薬。パンシロン®、サクロン®錠、スクラート®胃腸薬などが該当する。
酸分泌抑制薬
胃酸の分泌を抑える薬。ガスター10®、ガストール®錠などが該当する。
胃粘膜保護薬
胃の粘膜を保護する薬。ガスター10®、パンシロン®、アシノン®Z錠などが該当する。

胃もたれ消化不良に適した胃腸薬は?

食べすぎや飲みすぎによって起こる消化不良や胃もたれは、胃の働きが弱っているか、胃酸の分泌が過度に少なくなっているサインです。こうした症状の場合、適しているのは以下の種類の薬です。

健胃薬
胃の働きを活発にする薬。ヘパリーゼ®胃腸内服液、ソルマック®EX、熊膽圓Sなどが該当する。
消化薬
消化酵素によって消化を助ける薬(食べすぎや飲みすぎが原因だと明らかな場合はおすすめ)。わかもと®消化薬、キャベジンコーワ®αなどが該当する。
総合胃腸薬
健胃、制酸、消化といった効果を網羅した薬(ひとつひとつの効き目は弱いので、原因がはっきりしない場合におすすめ)。第一三共胃腸薬、太田胃酸やパンシロン®Gなどが該当する。

下痢などの腸の症状に適した胃腸薬は?

下痢など腸の症状が主に出ている場合は、腸内の細菌感染の予防や、腸内での異常発酵を抑制する目的で、下記の薬を服用することが適しています。

整腸剤
乳酸菌などを補充することで腸内環境を整え、下痢やガスの発生などを改善する薬。新ビオフェルミン®S錠、ザ・ガード®コーワ整腸剤α3などが該当する。
下痢止め
急な下痢の排出を抑制する薬。ただ、下痢を止めることで回復が遅くなる場合もあるので、自己判断での服用は厳禁。ビオフェルミン®止瀉薬、ストッパ®下痢止め、正露丸®などが該当する。

おわりに:症状に合った胃腸薬を選ぼう

一言で「胃腸薬」といっても、ご紹介したようにさまざまな作用の薬に分けられます。下痢で悩んでいるのか、胃痛がつらいのか、胃もたれで気持ち悪いのかなど、ご自身の症状に合わせて市販薬をチョイスしていくことが重要です。

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