記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/12/15
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
私たちの全身に新鮮な血液を送り、生命を維持する重要な役割を担う臓器・心臓。
このため、心臓に何か異常が見つかったときにはすぐに詳しく検査をし、疾患の早期発見と治療をしなければなりません。
今回は心臓疾患のうち検査が必要なケースと、疾患ごとの検査内容を解説します。
心臓は成人で1分間に約70回も脈打ち、1回あたり70~80mlもの血液を全身に送り出す働きを生涯続ける重要な働きを持っています。また、組織のほとんどが筋肉細胞でできており、休むこと=死となる臓器であるため、心臓は他の臓器・組織よりも強靭であるといわれています。
ただ、強靭な心臓でも心疾患に陥り、脈拍のリズムや強弱に異常が出たり、めまいや息切れ、倦怠感・疲労感などの症状を引き起こすことがあります。心疾患が疑われる症状が出た場合、その症状が本当に心臓由来のものか、心臓のどこに異常があるのかを早急に突き止めるための検査が必要です。
以下からは、狭心症・心筋梗塞・弁膜症の3つの心疾患について、これらを発症したときに受けるべき検査についてそれぞれご紹介していきます。
狭心症は、心臓の表面を覆う冠動脈という太い血管の内側の壁が硬くなり、動脈硬化に陥ってしまう病気です。
血管が硬くなると、状況に応じて必要な分の血液を送ることができなくなるため、運動時などに胸の痛みを伴う発作があらわれるようになります。
狭心症かどうかを判断するためには、以下の検査をひと通り行います。
心臓が1日のうち、どのような条件下で、どの程度の発作や異常を起こしているのかを調べるため、24時間心電図を計測する検査方法です。
シール状の電極を胸部に数か所貼って携帯用の小型心電図につなぎ、眠っている間も含めてまる1日心電図を記録した後、1週間ほどかけて解析していきます。
ひじや太ももの太い動脈からカテーテルと呼ばれる直径1~1.3㎜程度の管を挿入し、心臓の冠動脈まで入れて検査する方法です。
カテーテルから造影剤を注入してX線で撮影すると、冠動脈の動きや心臓全体の状態を確認できます。血管に痛覚はないため、痛みはほとんどありません。
術後は安静が必要なため、検査を受けるには基本的に1~2日の入院が必要になります。
心筋梗塞は冠動脈が何らかの理由で突然詰まってしまうことで、詰まったところから先に血液が流れなくなってしまう病気です。心筋梗塞を発症した瞬間から、激しい胸の痛みがあらわれるのが特徴です。
なお、心筋梗塞が疑われる場合、以下のような内容の心電図検査と、前項の狭心症のところで紹介した心臓カテーテル検査を行って診断します。
あお向けの状態になり、胸と両手首・足首に電極を取り付け、心臓が脈打つときに発する電気の状態を調べて心臓が規則正しく働いているかを検査します。
胸だけでなく、少し離れた手足からも心臓の電気の状態を確認することで、特有の心電図の乱れや変形がないかを診ていきます。
弁膜症は、加齢による劣化・変化やリウマチ熱の合併症が原因で、心臓に4つある弁のうち、いくつかが正常に動かなくなる病気です。
息切れや倦怠感が現れていて弁膜症が疑われる場合は、主に心臓超音波検査を行います。
体の外側から心臓に向けて超音波を当て、その反響の程度から心臓の動きや状態を映像にして目で確認できるようにする検査方法です。この検査で血液が流れる速度や量がわかると、弁の位置や、弁が正しく開閉して血液の流れを調整しているかを確認できるようになります。
脈拍や血液の流れる量・スピードなどに異常が出たときは、心臓自体や心臓の血管に深刻な病気が出ていると考えられるため、検査が必要になります。適切な検査方法は疑わしい病気によっても変わりますが、たとえば狭心症ならホルター心電図検査や心臓カテーテル、心筋梗塞なら心電図検査とカテーテル、弁膜症なら超音波検査を行うのが一般的です。胸の痛みや原因不明の倦怠感などを感じたら、心疾患を疑って早めに検査しましょう。
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