食欲不振のときに気をつけてほしいこと

2026/10/7

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士

三上 貴浩 先生

食欲不振とは、「食事をとる気がしない」「お腹が空かない」「食べたくても食べられない」といった状態に陥ることです。食べ過ぎや感染性胃腸炎などが主な原因になりますが、適切な治療が必要な病気が隠れている可能性もあります。この記事では、気をつけてほしい食欲不振の原因や食欲不振のときに心がけてほしいことなどについて解説していきます。

日常生活の中の食欲不振の原因

日常生活の中で食欲不振の原因になるものとして、主に以下が挙げられます。

ストレス

ストレスによって交感神経が過度に刺激されると、消化器官の働きを促す副交感神経のはたらきが抑えられ、食欲が低下することがあります。

加齢

加齢に伴い運動量が減少して運動不足が慢性化すると、エネルギーが消費されにくくなり食欲不振になることがあります。また、加齢に伴う消化器官の衰えも食欲不振の原因になります。

お酒の飲み過ぎ

摂取したアルコールは肝臓でアセトアルデヒドに分解された後、さらに酢酸に分解されます。お酒を飲み過ぎて肝臓の処理能力を超える量のアルコールを摂取すると、アセトアルデヒドが体内に溜まります。アセトアルデヒドには有害性があり、倦怠感・吐き気・頭痛・食欲不振などを引き起こすことがあります。また、アルコールの刺激で胃粘膜がダメージを受けることが、食欲不振の原因になることもあります。

不規則な生活

睡眠不足・昼夜逆転の生活など、不規則な生活が続くと自律神経のバランスが乱れやすくなります。上記で説明したように、自律神経と消化器官には密接な関係があり、自律神経のバランスが乱れて副交感神経がうまく機能しなくなると、食欲不振を引き起こすことがあります。

薬の副作用

抗がん剤・抗菌薬・鎮痛薬など、薬の副作用によって食欲不振になる場合があります。

食欲不振を引き起こす病気について

胃・腸などの消化器官に病気があると、食欲不振になることがあります。また、消化器官以外でも、悪性腫瘍や精神疾患などが食欲不振を引き起こすことがあります。食欲不振を引き起こす病気の例として、主に以下が挙げられます。

風邪・感染症

風邪・感染症の原因となるウイルス・細菌などを排除する作用により免疫機能が活発になると、発熱・倦怠感・頭痛・鼻づまりなどの症状が現れるようになり、消化機能が低下して食欲不振になることもあります。

胃炎

胃炎には、急性胃炎と慢性胃炎があり、どちらも胃粘膜に炎症が起こっている病態です。急性胃炎・慢性胃炎を発症すると、胃痛・胃もたれ・胃の不快感・吐き気などの症状が起こり、食欲不振に陥ることもあります。

胃潰瘍・十二指腸潰瘍

胃潰瘍・十二指腸潰瘍とは、それぞれ粘膜が胃酸やピロリ菌などの影響でひどく傷つき、潰瘍となって穴があいた状態です。胃痛・腹痛・胸焼け・吐き気・おう吐・食欲不振などの症状を引き起こします。なお、胃潰瘍・十二指腸潰瘍は、慢性胃炎と同様に、ピロリ菌・ストレス・薬の影響などが原因になることがあります。

甲状腺機能低下症

甲状腺には甲状腺ホルモンを分泌する働きがあります。甲状腺ホルモンは、新陳代謝やエネルギー消費、臓器・細胞の機能の調節に関わるホルモンであり、甲状腺機能低下症を発症すると、疲労感・無気力・むくみ・寒がり・体重増加・記憶力の低下・便秘などの症状が現れ、食欲不振が起こることもあります。

うつ

うつ状態とは、脳に必要なエネルギーが枯渇し、食欲や睡眠欲などが低下したり、気分が落ち込んだりなどの変化が現れ、自力で回復することが困難な状態のことをいいます。さまざまな精神症状・身体症状を引き起こし、食欲不振の症状が現れることもあります。

胃がん

ほとんどの場合、初期では自覚症状がみられず、食欲不振・吐き気などの症状が現れた頃には、ある程度進行している場合が多いといわれています。さらに進行すると、胃粘膜が傷付き、黒褐色の吐血がみられることもあります。

食欲不振のときに心がけること

食欲不振のときは、まずは規則正しく健康的な生活を送ることを心がけましょう。できるだけ同じ時間帯に睡眠・食事をとるようにし、適度に体を動かして運動不足を解消しましょう。もしストレスを抱えているという自覚がある場合は、気分転換をしてリフレッシュするようにしてください。また、食欲不振のときは、自分が食べやすいと感じる、消化のよいものをとるようにしましょう。うどん・豆腐・脂肪の少ない肉・ヨーグルトなどがおすすめです。

食欲不振は、市販の胃腸薬で回復するときもありますが、基本的には薬剤師に相談してから服用することをおすすめします。上記で説明したように病気が原因の可能性もあるため、長期間続いていたり、何も食べられないほど症状が重かったり、食欲不振以外の症状が伴っているときは、早めに医療機関を受診しましょう。

おわりに:なかなか回復しない食欲不振があるときは、早めに医療機関に相談を

食欲不振にはさまざまな原因があり、治療が必要な病気が引き起こしている場合もあります。食べ過ぎや飲み過ぎなど、思い当たる原因があり、数日で回復するのであれば問題はないでしょう。しかし、数週間以上続いていたり、食欲不振以外の症状が伴っていたりする場合は、早めに医療機関を受診するようにしてください。

関連記事

この記事に含まれるキーワード

飲酒(52) ストレス(369) 加齢(30) 自律神経の乱れ(11) 食欲不振(29) 薬による食欲不振(2)