記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/2/12
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
がん細胞の有無を見つける検査として、PET検査というものがあります。名前だけ聞くとなんとなく手軽にできそうな検査のようなイメージが浮かびますが、実際のところどのような検査なのでしょうか。この記事で解説したいと思います。
PET検査の「PET」とは、Positron Emission Tomography (陽電子放出断層撮影) の略で、放射能を含む薬を使って行う核医学検査の一種です。心筋梗塞やてんかんを調べるためにも、この検査が行われることがあります。
PET検査では、ブドウ糖代謝の指標となる18F-FDGという薬を体内に投与し、その分析結果を特殊なカメラでとらえて画像化していきます。そのため、一般的なPET検査は「FDG-PET検査」とも呼ばれています。CTやMRIといった一般的な画像検査と違って、1回の検査で全身を撮影することができるのが特徴です。
PET検査を行うことで、腫瘍の位置や大きさ、良性・悪性の区別、転移の有無を調べることができます。また、転移の有無や治療の効果があらわれているかどうかを調べるときに使われることもあります。
PET検査は、がん細胞の「正常の細胞に比べて3~8倍のブドウ糖を取り込む」という性質を利用しています。
PET検査で使う18F-FDGという薬には、放射線を含む物質(放射性同位元素)が含まれています。がん細胞に18F-FDGが取り込まれると、反応して放射腺が放射されます。この放射線をカメラが撮影することで、がん細胞があるのはどの部位かを特定することができます。
一般的に、がん細胞の大きさが1cm以上になればPET検査で見つけることができる、といわれています。その意味で、がんの早期発見に役立つ検査ですが、実は見つけるのが得意ながんと、そうでないがんがあります。
なお、PET検査は初期の肺がんを見つけることは苦手ですが、全身に転移していないかどうかを調べるためにこの検査を受けるのは有効とされています。
また、PET検査で肺がんが見つかった場合、進行が早く、転移する確率が高い悪性のがんであることがわかっており、注意が必要です。
以下に、PET検査の具体的な流れを紹介します。
PET検査で使う18F-PEGは放射能を含んでいるため、検査で放射線被ばくを受けます。この薬によるアレルギー反応や副作用はほとんど報告されていません。
また、CT検査などで使われる造影剤は、喘息や腎臓病といった持病をお持ちの方は受けられないことがありますが、PET検査はそのような制約なく、安心して受けることができます。ただし、糖尿病の方など、血糖値が高い方は検査の精度に影響が出る可能性があるので、検査前に医師に相談することをおすすめします。
PET検査はがんの有無はもちろん、治療の効果や再発・転移の有無を調べるのに有効な検査です。また、大腸がんや甲状腺がんを初期の段階で見つけることも得意ですが、その反面、胃がんや前立腺がんなど、検査を受けても見つけるのが難しいがんもあります。PET検査のメリット・デメリットを把握して、それぞれのがんの発見に合った検査を受けましょう。
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