記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
2017/4/13 記事改定日: 2019/8/9
記事改定回数:4回
記事監修医師
東大医学部卒、セレオ八王子メディカルクリニック
二宮 英樹 先生
妊娠中の微熱は、風邪や、妊娠初期の症状としての頭痛や微熱としてあらわれることがありますが、必ずしも風邪や妊娠の初期症状とは限りません。微熱を伴う感染症の中には、妊娠中にかかるとお腹の赤ちゃんに影響を及ぼすものがあります。この記事では、妊娠中のはしかと風疹について解説します。
はしか(麻疹)は、パラミクソウイルスによって起こされる非常に感染力の強い、主に子供がかかる病気です。その症状として発熱、鼻水、咳、目の充血、全身の発疹があります。妊娠中の女性は、妊娠していない女性よりも重症化する傾向にあります。また、流産や早産の危険性もあります。
はしかは非常に感染力が強いため、周囲の人に感染する恐れがあります。今まではしかにかかったことがない、もしくは一度しか予防接種を受けたことがない方は、免疫が不完全なことが多いため、妊娠可能時期に感染するリスクがあります。
しかし、妊娠中はお腹の赤ちゃんに影響が及ぶことがあるため、予防接種を受けることができません。このような場合は、人混みを避けたり(外出もなるべく避ける)、家族が予防接種を受けたりするなどの対策をとって妊娠中の感染を予防しましょう。
もし、はしかにかかったか、また、予防接種をしたかどうかわからない場合は、血液検査を受けましょう。また、はしかに対する免疫がなく、妊娠中にはしかに感染した人と同じ場所にいることがわかった場合、治療のための免疫グロブリン投与について医師に相談することが必要です。
風疹は、トガウイルスによって起こされる病気です。その症状は、微熱、リンパ節の腫れ、節々の痛み、赤い発疹などですが、全体的に症状は穏やかです。
風疹ウイルスは胎盤を通過することができるので、妊娠中の女性が風疹にかかるとお腹の赤ちゃんにさまざまな影響をもたらします。特に、妊娠初期に風疹にかかると、目(白内障)や心臓(動脈管開存症)の疾患、精神遅滞などを起こす先天性風疹症候群や、流産、死産のリスクが高くなります。
風疹もはしかと同じく、子供のときに予防接種を受けている可能性が高いですが、妊娠適齢期に十分な抗体が残っているかどうかは個人差があります。また、風疹に感染した人と接触した場合は感染するリスクがありますので、周りに風疹の人がいたり、風疹が流行っているときは、外出を控えることをおすすめします。また、子供のころに予防接種をした人も、念のため、妊娠前に十分な免疫が残っているか血液検査で調べましょう。特に、妊娠を考えている方は、早めに予防接種を受けましょう。
以下のような症状が出ときははしかや風疹の可能性を疑って、病院で診てもらってください。
はしかも風疹も、妊婦が感染するとおなかの赤ちゃんに悪い影響を与える恐れがあります。妊娠中に微熱がでたなど、異常がみられた際は、自己判断せずに速やかにお医者さんへ相談しましょう。
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