パントテン酸の作用と摂取量の目安 ― 風邪の予防やストレス緩和に役立つ?

2022/5/10

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

健康維持にはあらゆるビタミンの摂取が欠かせませんが、その一種に「パントテン酸」があります。このパントテン酸とはどんな作用を持つビタミンか、期待できる健康効果や、多く含まれる食べ物についてご紹介します。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
冷凍宅配食の「ナッシュ」

パントテン酸の性質

パントテン酸は、ビタミンB群の一種です。「Pantothenic acid」の和訳で、ギリシャ語で「あらゆるところに存在する酸」を意味します。その由来通り、自然界に広く分布している酸であり、幅広い食品に含まれているのが特徴です。さらに腸内細菌によってもわずかに合成されるため、不足状態に陥ることはほとんどありません。また、水溶性ビタミンでもあるため、余分に摂取した分は尿として排出されます。

パントテン酸の作用

パントテン酸は、体内でエネルギーを作り出すのに必要な「補酵素」の成分の一つで、タンパク質や糖質、脂肪の代謝をサポートするほか、ホルモンや抗体の合成などに関わっています。具体的には、次のような健康効果が期待できるとされています。

ストレスを和らげる

パントテン酸は「抗ストレスビタミン」とも呼ばれています。ストレスをやわらげる働きを持つ「副腎皮質ホルモン」の合成に関わっているためです。

風邪を引きにくくなる

パントテン酸には、ビタミンB6葉酸とともに免疫のためのタンパク質をつくる働きがあり、風邪などの感染症に対する抵抗力を高めます。

肌や髪をキレイにする

パントテン酸には、肌や髪の毛を作るタンパク質の合成に必要な「ビタミンC」の働きをサポートする作用があります。傷ついた皮膚や粘膜を回復させる効果が期待できます。

善玉(HDL)コレステロールを増やす

パントテン酸は、脂質の代謝を促す善玉コレステロールを増加させるため、安定的な摂取で動脈硬化の予防にもつながるといわれています。

1日に必要なパントテン酸の摂取量は?

日本人の食事摂取基準(2020年版)では、パントテン酸の1日あたりの摂取量の目安を下記のように定めています。なお、摂り過ぎたパントテン酸は排尿されるので、多めに摂取した場合でも健康被害は特にないとされています。

男性
18歳〜49歳:5mg
50歳以上:6mg
女性
18歳以上:5mg

パントテン酸はどんな食べ物に多く含まれる?

パントテン酸はさまざまな食品に含まれていますが、中でも納豆やレバー、肉類、子持ちカレイやうなぎイクラなどの魚類、キノコ類、卵に多く含まれています。ただ、カフェインとアルコールはパントテン酸の吸収を妨げるため、コーヒーや紅茶、お酒を普段から嗜む方は、パントテン酸を含む食べ物を多めに摂取するといいでしょう。

おわりに:パントテン酸を含んだ食べ物で、健康的な毎日を!

パントテン酸には、風邪を引きにくくする、ストレスを緩和する、善玉コレステロールを増やす、肌や髪をキレイにするといった、若い人から高齢者・シニアまで幅広い人にとって嬉しい作用が期待できます。バランスの良い健康的な食生活が基本となりますが、健康な身体づくりのために、毎日の食卓にうまく取り入れていきましょう。

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