記事監修医師
前田 裕斗 先生
2017/9/28 記事改定日: 2018/8/28
記事改定回数:2回
記事監修医師
前田 裕斗 先生
尿の中に血が混じることを血尿といいます。膀胱炎の発症で、血尿が出ることも多いのですが、なぜ、膀胱炎で血尿が出るのでしょうか? ここでは、膀胱炎と血尿についてお伝えします。
市販薬で治せるのは初期の膀胱炎であり、血尿が出るような膀胱炎はすでに症状が進行している場合がほとんどです。また、膀胱炎だと考えていても、尿管結石や膀胱結石、膀胱がんなど別の病気の可能性も少なくありません。
血尿が出た場合は、自己判断で市販薬などを服用せず、必ず泌尿器科などを受診して適切な検査・治療を受けるようにしましょう。
膀胱炎は放置すると腎盂腎炎などに進行して敗血症のような非常に重篤な合併症を引き起こすことがあります。このため、以下のような症状がある場合には、なるべく早めに病院を受診して検査・治療を受けるようにしましょう。
膀胱炎とは、主に細菌感染で起こる尿路感染症の一種で、膀胱に炎症が起きている状態です。細菌が、肛門部や性器周辺から尿道を通って膀胱内に侵入すると、炎症が起こります。
尿が作られ、溜められ、体外に排出される通路を尿路といいます。尿路は、以下の臓器で構成されています。
男性は尿道が長いので細菌が侵入しにくいのに対し、女性は尿道が肛門や腟に近いため、細菌が侵入しやすいという違いがあります。そのため、男性より女性のほうが膀胱炎を発症しやすいと言われています。
免疫が正常に働いていれば、大腸菌や黄色ブドウ球菌といった細菌が膀胱に侵入しても膀胱炎にはなりません。しかし、ストレスや過労などが原因で免疫力が低下しているときや、性行為の後、月経(生理)中などで尿道まわりが不潔になりやすいときなどに膀胱炎が発症しやすくなります。
膀胱炎になると、残尿感(尿がまだ出きってない感じがする)、排尿痛(尿を出した後にしみるような痛みが起こる)、頻尿(尿の回数が多い)といった症状が現れます。ただし、初期症状ははっきりと現れないことも多く、自覚症状がないまま進行することもあります。
膀胱に細菌が侵入して炎症が起こると、膀胱の柔らかい粘膜(移行上皮である膀胱粘膜上皮)に傷ができることがあります。この粘膜の傷から出血した血液が尿に混ざると、血尿になります。初期に血尿がみられることは少ないため、血尿が出るのは症状が進んでいる兆候の可能性があります。
血尿が出ると、尿は淡い黄色ではなく、ピンク、赤、茶色がかった赤、または茶色に変わります。これは、肉眼的血尿と呼ばれます。ただし、血尿には、肉眼ではわからないタイプのものもあります。これは顕微鏡的血尿と呼ばれるもので、尿検査の結果、はじめて血尿が出ていることがわかります。顕微鏡的血尿の段階でも症状がかなり進行している可能性があります。
軽度の膀胱炎であれば、水分をたくさん摂って排尿を促すことで自然治癒することもありますが、血尿が出るほど進行した膀胱炎は自然治癒する可能性は低いです。また、以下に紹介するように、血尿が出る病気は膀胱炎だけではありません。したがって、排尿時に違和感があるときは泌尿器科で診てもらったほうが安心です。
腎盂腎炎とは、膀胱から最近が逆流することで発症する腎盂および腎臓の病気です。発症すると、血尿のほかに、40度近い高熱が出たり、脇腹のあたりに痛みが出たり、尿に膿が混じったりします。
尿路結石は、動物性脂肪を摂りすぎたり、アルコールの飲みすぎが原因で発症することが多い病気です。腎臓、尿管、膀胱など尿の通り道に小さな石ができ、尿管の粘膜が傷つけられることで血尿が出たり、脇腹に強い痛みがあらわれたりします。
年配の男性によくみられる病気です。膀胱を圧迫して排尿困難になったり、頻尿になったりします。また、肥大した前立腺が尿道粘膜を圧迫して充血した結果、血尿が出ることがあります。
50歳以上の成人が発症する可能性が高い病気です。赤や茶色の血尿が出るとともに、頻繁に尿意を感じたり、排尿時の痛みがあらわれたりします。
膀胱癌と同じく、50歳以上の成人が発症する可能性が高い病気です。癌細胞が大きくなると、血尿が出たり、背中や腰の痛みが出たり、腹部にしこりができたりします。
50歳以上の男性が発症する可能性が高い病気です。最初は尿が出にくかったり、頻尿になったりする症状があらわれますが、進行すると血尿や骨への転移による痛みが出てきます。
尿中に鮮血が混じっていることに気がついた場合や、血液が混じっているために尿の色が赤や茶色に変わっている場合には、医者の診察を受けましょう。
また、膀胱炎はストレスや生活習慣の乱れから起こる可能性が高くなります。ストレスの発散や生活習慣を見直すことを心がけることも大切です。
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