記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2021/9/27
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
カリウムは、塩分排出を助けてくれる減塩に役立つミネラル(電解質)です。体内のカリウムの量が過剰に減ったり、過度のカリウム不足なったりすると、さまざまな不調が現れるようになります。
今回は、カリウム不足で起こる症状と不足しやすい人の特徴、カリウムを効率よく摂取するために気をつけることを解説していきます。
カリウムは、人体にとって必要不可欠なミネラル=電解質(給水や血中のpHの調整、筋肉や神経の活動に必要なイオンのこと)で、おもに以下の働きがあります。
こられの働きから、高血圧の予防やむくみの解消、心臓や筋肉の機能維持などに役立ちます。
カリウムが欠乏したときのおもな症状は、血圧上昇やむくみです。脱力感、食欲不振、吐き気、不安感、不整脈などの症状がみられることがあり、重度の不調が起こった場合は心停止することもあります。
また、カリウムとナトリウムのバランスが崩れると、脳に電気信号がうまく運ばれなくなるため、どこも異常がないにも関わらずなんとなく体調が悪いという症状が起こることがあります。このような不調を「不定愁訴(ふていしゅうそ)」といいます。
このほか、腎機能が低下している人は低カリウム血症を起こすこともあります。
低カリウム血症とは、嘔吐、下痢、副腎の病気、利尿薬の使用などが原因となって、カリウムの濃度が著しく低くなってしまう状態のことです。
血液中のカリウム濃度がわずかに低下した程度で症状が出ることはありません。ただし、著しく低下すると、筋力低下、筋肉のけいれん、ひきつり、不整脈、麻痺が現れることがあります。
また、低カリウム血症が長期間続くと、腎機能に異常が出ることもあるので注意が必要です。
食べものやサプリを介してカリウムを補充すれば、通常は症状も改善しますが、経口摂取ができない場合や心臓の症状が見られる場合には、点滴や静脈注射による治療が必要になる場合もあります。
カリウム不足は、以下が原因で起こることがあります。
ノロウイルスなどによる感染性胃腸炎では、ひどい下痢や嘔吐が続くことも多く、カリウム不足になることも珍しくありません。また、猛暑や激しい運動で大量に発汗すると、汗と一緒にカリウムが失われることになるので注意が必要です。
また、過度な食事制限やトレーニングでダイエットしている人、極端な偏食をしている人、食が細い人、食欲低下を引き起こす病気にかかっている人は、慢性的なカリウム不足になりやすいといわれています。
カリウムが多く含まれる食べものを、毎日積極的に食べるようにしましょう。
カリウムは、野菜やイモ類、果物、海藻類、豆類などの多く含まれています。これらをバランスよく食べていれば、不足することはあまりませんが、以下の食品にとくに多く含まれていますので、カリウム不足になりやすい人は、積極的にメニューに取り入れましょう。
また、カリウムは、肉類、魚介類、乳製品などにも多く含まれています。ただし、カリウムは、加工や精製が進むにつれて含有量が減ってしまいますので、カリウム摂取を目的にする場合は生鮮食品がおすすめです。
なお、カリウムは水に溶けやすい性質を持っていて、「煮る」だけで3割程度のカリウムがお湯に溶け出すともいわれています。カリウム摂取を、目的にする場合は、スープやみそ汁などの汁物、煮汁まで飲んでも大丈夫なメニューを作りましょう。ただし、スープや汁物には塩分も多く含まれているので、塩分量には注意が必要です。
カリウムには、余分な塩分を排出したり、筋肉や神経の働きを助けたりする働きがあります。カリウム不足は高血圧を悪化させる原因になることがあり、不定愁訴や筋肉の痙攣、心臓の異常を引き起こすこともあります。
カリウムはさまざまな食品に含まれているので、バランス良く食べていればあまり不足することはありませんが、過剰なダイエットやトレーニングをしている人、極端な偏食がある人は不足しやすいので注意が必要です。
なるべく生で食べるようにしたり、スープや汁物にしたりするなどして、工夫をしながら毎日の食事に取り入れてください。