記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2022/9/16
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
家のホコリやダニの死骸、カビなどを総称する「ハウスダスト」。このハウスダストの症状は、目や鼻にも現れることがあるのでしょうか。症状を緩和する方法と併せてお伝えします。
ハウスダストとは、室内におけるほこりの中でも1mm以下の肉眼では見づらい、ダニの死骸や糞、ペットのフケや毛、カビなどのことです。人がいない時間帯や寝ている夜の間に落ちて床の上に溜まり、人が起きて動き始めると再び空気中に舞い上がります。
中でもアレルギー症状を引き起こす主原因が、コナヒョウヒダニやヤケヒョウヒダニと呼ばれるダニの死骸や糞です。ダニは温度が約25℃、湿度が70~80%の環境でもっとも繁殖しやすいといわれています。近年は気密性の高いアルミサッシを使い、冷暖房設備が整っている住居も多いですが、私たちが生活しやすい環境はダニにとっても住みやすい環境です。布団やソファ、カーペットなどの高音多湿な場所に入り込み、繁殖します。
目の結膜は外にさらされており、涙などで濡れているため、ハウスダストがつきやすい部位です。そしてハウスダストが目につくと、アレルギー性結膜炎を引き起こします。原因となるハウスダストは一年中家の中に存在し、いつでも発症しうる点から「通年性アレルギー」と呼ばれ、花粉が原因の「季節性アレルギー」とは区別されています。
アレルギー性結膜炎の症状では、まず目のかゆみを感じます。かゆみに任せて、かいたりこすったりしていると次第に痛みを感じるようになり、やがて目がゴロゴロして違和感が出てきます。さらに悪化していくと結膜が充血し、まぶたが腫れてきます。重症化すると透明な角膜の周囲が赤紫色になり、結膜にゼリー状の目やにがでてくることもあります。
ハウスダストによるアレルギー症状は、目だけではありません。
ハウスダストを鼻から吸いこむと、体内に侵入したハウスダストは鼻の粘膜でアレルギー症状を引き起こします。突然連続したくしゃみが起こったり、水のようなサラサラした鼻水が出たり、鼻詰まりが起こったりします。夜の間に床に溜まったハウスダストが朝に舞い上がるため、起きがけに発作のようなくしゃみと鼻水などの鼻炎症状(モーニングアタック)が出る場合があります。
ハウスダストや食べ物によって引き起こされる皮膚炎です。乳幼児のアトピー性皮膚炎は、顔や頭、耳などの皮膚がジュクジュクして赤く腫れ、小児以降は皮膚がカサカサして硬くなります。強いかゆみをともなうため、かくと皮膚に傷がついてしまい、傷口から細菌に感染して悪化する可能性があります。成長とともに治まる場合が多いのですが、成人以降も続くと慢性化することがあります。
気管支喘息は、ハウスダストによって引き起こされる気管支の症状で、発症のピークは1~2歳です。激しい咳や息を吐いた時の息苦しさがあり、狭まった気道から「ゼイゼイ」「ヒューヒュー」とした音が鳴るのが特徴です。アレルギーによる気道の慢性的な炎症が原因で少しの刺激に反応して悪化します。約7割は大人になるまでに治るといわれていますが、一度治っても再発することがあります。
ハウスダストによる症状を緩和するためには、こまめに掃除機をかけ、家具や棚の上は丁寧に水拭きすることが重要です。エアコンのフィルターや空気清浄機のフィルターも定期的に水洗いし、清潔を心がけてください。アトピー性皮膚炎になった方は、皮膚のバリア機能が弱まっているため、皮膚の保湿をしっかりとおこないましょう。日ごろからスキンケアを徹底して、肌のバリア機能を保ち、皮膚への刺激を避けて悪化や再発しないようにしてください。
ハウスダストによるアレルギー症状は、目だけでなく体のあちこちにあらわれます。こまめな掃除をおこない、アレルギー症状の緩和・悪化防止につとめましょう。疑わしい症状が見られた場合は重症化する前に医療機関を受診し、適切な検査・治療を受けてください。
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