男性不妊の原因を知るために、過去の既往歴に注目しよう!

2018/9/4

前田 裕斗 先生

記事監修医師

国立成育医療研究センター フェロー

前田 裕斗 先生

不妊の原因は女性にも男性にもある可能性があります。
この記事では、男性の不妊の原因になる病気について解説しています。この記事で紹介する既往歴がある人は、男性不妊の可能性があるということなので、妊娠を希望するなら早めに受診することをおすすめします。
どんな病気が原因になるのか確認してみましょう!

男性不妊の原因とは

不妊症は男性側に原因があるという場合もみられます。男性側が要因となるのは「精子がつくられてから射出されて、パートナーの子宮内に入り受精をするまで」のどこかの過程で問題が生じた場合で、次のような障害があります。

精子形成障害(造精機能障害)

精子は精巣の中でつくられますが、何らかの要因があって精子が作られにくい状態です。精子が全く作られない状態だけではなく、量が少なかったり、卵子に到達できるまでの運動能力がないといった状態も含まれます。多くは原因不明ですが、はっきりしているものとしては男性ホルモンの低下や、精索静脈瘤、染色体疾患などがあります。精索静脈瘤は、精巣周辺の陰嚢(いんのう)の中にできた血管のこぶで、血流が多く流れることで熱がこもります。精子数の減少や運動率の低下の3割以上が精索静脈瘤が原因ともいわれます。

精路通過障害

精子は作られていても、射出するまでの通り道(精路)に問題があって外に出せない状態です。

副性器機能機能異常

精巣上体、前立腺などの精巣周辺の臓器に機能不全が起きている状態です。

性機能障害

勃起不全(ED)やセックスで射精できない腟内射精障害、性欲障害などがあります。精子の問題や、各器官の問題はありません。カウンセリングや薬物療法などによる治療が行われます。

こんな既往歴がある人は男性不妊に注意!

子供の頃に鼠径(そけい)ヘルニアや停留睾丸の手術を受けたことがある人は、精子を運ぶための管が詰まったり、精子の数が少なくなることがあります。また、悪性腫瘍(がん)の治療を受けている場合も、精子をつくる機能が低下していることがあります。

また、おたふく風邪はウイルス性の感染病ですが、思春期以降に感染すると精巣で炎症を起こすことがあります。高熱が続いたり睾丸が腫れたあとで無精子症となることがありますが、精巣が腫れてすぐに精子がなくなるのではなく、数ヶ月から1年と時間が経ってから精巣が萎縮してしまうことがあるため、経過を追う必要があります。
もし、おたふく風邪になり、精巣の腫れがあった場合は、精子を凍結保存するという選択肢もありますので、早めに医師に相談しましょう。

また、糖尿病を患っている人は、勃起不全や射精障害といった性機能障害を起こし、さらに病気が進行すると精子をつくる機能そのものが衰えていきます。幼少時の既往や、現在の病気などが気になる人は、早めに泌尿器科や産婦人科で検査を受けておきましょう。

男性不妊はどうやって治療するの?

精索静脈瘤や精路(精子の通り道)の閉塞など、原因がはっきりしていて手術で改善が見込まれるときには、外科的な手法が用いられます。また、精子の形成不全には体質や生活習慣も関与しているといわれています。タバコやアルコールの過剰摂取など、生活週間の中で影響を与えていると考えられるものはできるだけ中止し、それとあわせてホルモン剤や漢方薬、ビタミン剤などの薬物療法を行うこともあります。

生活習慣の改善や薬の治療で結果が出ない場合は、人工授精が検討されます。人工授精とは、採取した精液を濃縮してから、直接、女性の子宮内に注入する治療です。軽度~中等度の精液異常であれば人工授精で妊娠が成立することも十分あり得ます。
そして、人工授精で妊娠に至らなかった場合、体外で精子と卵子を受精させる体外受精・顕微受精が検討されます。

これらの治療を行っても妊娠に至らない場合、パートナー以外の精子を用いて人工授精・体外受精を行うことも可能ですが、父親との間には遺伝的なつながりはない子供が生まれてくるという事実を受け止める必要があることはしっかり理解しておきましょう。

おわりに:男性が原因の不妊も、治療で治ることがある!まずは検査を受けてみよう

現代では、10組に1組のカップルが不妊であるとされ、生まれつきの体質や幼少時に感染した病気など、男性側に要因があることも少なくありません。
ただ、男性不妊も不妊治療でで妊娠に至るケースもありますので、不妊に悩んでいる方はまずは検査だけでも受けてみてはいかがでしょうか。

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