記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/10/19 記事改定日: 2020/1/23
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記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
「テタニー症状」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。今回はこのテタニー症状の特徴や原因、治療法など、全般的な情報を解説していきます。
テタニー症状とは、手足や顔の筋肉にしびれや痛みを伴う痙攣が起こることです。指先や唇周囲といった狭い範囲にしびれが現れることもあります。
しびれに続いて、強いこわばりが起こり、筋肉が痙攣を起こし始めます。
重症化すると、意識を失ってしまうほどの強い痛みを伴うことがあり、興奮や不安といった精神症状もあらわれます。また、全身の筋肉に症状が広がり、呼吸に関わる筋肉にも問題が生じます。
全身の筋肉のこわばりや痙攣は、てんかん発作の症状にも似ていますが、テタニー症状とてんかんの原因は別です。てんかんは脳内の神経の異常ですが、テタニー症状は血液中のカルシウム量が減少したときに起こります。
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テタニー症状は、血液中のカルシウム量が減少したことによって起こります。
血液中のカルシウム量が減少は病気が原因のことが多く、おもなものに以下があります。
難病にも指定されている副甲状腺機能低下症は、副甲状腺ホルモンの分泌が少なくなることで血液中のカルシウム量が低下する病気です。遺伝子異常や、甲状腺など頸部の手術後、免疫異常などさまざまな要因によって起こります。
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骨粗しょう症の治療に用いられるデスノマブ(ランマーク®)という薬剤は、重大な副作用として血液中のカルシウム量の低下を挙げています。
使用開始から数日後に症状が現れることがあるため、血液検査と経過観察を注意深く行うことが必要な薬です。また、腎機能の低下している患者への投与についても、慎重な見極めが必要とされています。
テタニー症状は過換気症候群の症状のひとつとして起こることがあります。
不安や緊張が強い状態で呼吸を何度も繰り返していると、血液がアルカリ性に傾きます(アルカローシス)。
アルカローシスの状態になると呼吸をつかさどっている神経(呼吸中枢)は、呼吸のしすぎと判断をして呼吸を抑える方向で作用しますが、本人は息苦しさを感じて余計に呼吸をしようとするため症状が悪化します。
このように血液がアルカリ性になると、血液中のタンパク質とカルシウムの結合が起こり、血液中のカルシウム濃度が低下してしまいます。
その結果、症状のひとつとしてテタニー症状が起こるようになるのです。
テタニー症状の急性期治療は薬物療法が中心となり、カルシウム製剤の投与を行います。ビタミンDはカルシウムの吸収を助けるため、同時に投与や服用が行われることもあります。テタニー症状の治療は対症療法であり、その原因となっている疾患の診断や治療が大切になります。
テタニー症状は重症化するまで気づかれないケースも少なくありません。できるだけ早く発見して治療につなげるには、次のような体調の変化に注意しましょう。
当てはまる項目が多く、なおかつ長く続くときは放置せずに病院を受診することをおすすめします。
テタニー症状は、さまざまな原因で血液内のカルシウム濃度が低下することで起こります。手足や唇の周りなどのしびれや、重症になると全身の筋肉の痙攣やこわばりが起こります。
治療ではカルシウム剤の投与が行われますが、テタニー症状が落ち着いても原因となる疾患の治療が大切となります。症状が治ったからといって放置せず、必ず病院を受診して適切な治療をしてもらいましょう。
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