記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/11/29
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
大腸は全長1.6mもある大きな臓器で、消化吸収した食べ物の残りを貯蔵しながら水分を吸収して便を作り、定期的に体外に排泄する役割を担っています。
こちらでは、そんな大腸に起こる病気の種類や、大腸の健康状態を調べる検査方法について説明していきます。
食べ物を消化して排泄するまでの、口・食道・胃・小腸・大腸・肛門の1本に繋がった管を消化管と呼びます。なかでも大腸の構造は一様ではなく、大きく分けると盲腸、結腸、直腸の3つからなり、細かく分けると盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸、直腸に分けられます。
大腸の中には常に500種類以上の腸内細菌が存在し、小腸で消化された食べ物の残りかすを便にする働きを担っています。そのため、大腸が下記のような病気にかかると便に異常が出やすくなります。
大腸の粘膜の一部がいぼ状に盛り上がったものです。はじめは小さいものでも徐々に大きくなり、大きくなるにつれてがん化しやすいといわれています。
S字結腸から直腸にかけてできやすく、たいていのポリープは大腸内視鏡で切除することが可能です。
多くは無症状ですが、肛門近くの直腸にポリープができた場合には、血便が出たり、ポリープが肛門から出たりすることもあります。
検査を行っても、炎症や潰瘍などの特別な異常が見つからないにも関わらず、下痢や便秘、腹痛、腹部膨満感など、下腹部の不快な症状が継続する病気です。命に関わる病気ではありませんが、症状の程度によっては日常生活に大きく影響を与えます。
20~40代に多く見られ、男性よりも女性の患者のほうがやや多いといわれています。
明らかな原因は不明ですが、消化管の運動異常や精神的なストレスなどが関係していると考えられるほか、急性の感染性腸炎をきっかけに引き起こしやすくなることがわかっています。
憩室とは、大腸の壁の弱いところにできる袋のことで、大腸憩室症はこの部分が出血や炎症を起こしている状態をいいます。
出血や炎症が起こると腹痛や発熱、吐き気や嘔吐などの症状があらわれるようになり、出血の程度が強く、血圧が不安定な場合には、輸血も含めた治療が必要です。
憩室の形成には食生活が関与していると考えられており、食物繊維の少ない食事によって腹圧がかかりやすくなると形成されます。近年で患者数が増えている病気です。
大腸の粘膜に炎症が起こり、潰瘍ができたことで下痢、血便、腹痛などの症状があらわれる病気です。
消化管の炎症は、遺伝的な要因や環境要因などが複雑に絡み合い、異常な免疫反応を引き起こした結果、発症すると考えられています。
子供から老人まで発症することのある病気で、はっきりとした原因がわからないことから特定疾患に指定されており、現在治療法は確立されていません。
大腸の左側が侵されることが多く、大腸に穴が空くことはありません。なお、似た病気にクローン病があります。
潰瘍性大腸炎の症状によく似ていますが、大腸のみに病変があらわれる潰瘍性大腸炎と違い、クローン病は大腸だけでなくあらゆる場所で炎症が起こり、腸の壁の深い部分へと炎症が進行していきます。
また、深い腸の傷が治っていく過程で、腸の形が狭く変形(狭窄)して、ものが通らなくなることもあり、これはクローン病の一番の特徴です。他にも、腸に穴が空くことが多く、とくに若い年齢で発症します。
潰瘍性大腸炎と同様に、特定疾患に指定される慢性の病気のため、薬物療法により炎症を抑え、症状を軽減・コントロールし、寛解を保つことが治療目的になります。
上記のような病気の発見には、大腸内視鏡検査が有用な検査方法です。
大腸内視鏡検査は、肛門から太さ11~13mmの、細長く柔らかい内視鏡(カメラ)を挿入して、大腸の内部を直接見ることができます。検査による痛みはほとんどなく、15~30分程度でおわります。
検査時の血圧変動などの体調の変化に対応するために点滴を行ったり、不安や緊張を緩和するために鎮静剤や鎮痛剤を使用したりすることもあります。医療機関によって様々ですので、自分に合った検査方法を行っている医療機関を探してみましょう。
以下のような症状に心当たりがある場合には、大腸内視鏡検査をおすすめします。
進行した大腸がんでは、大腸が狭くなるため便秘を引き起こします。
便秘は他にも様々な要因で起こりますが、以前よりも頻繁に便秘になったり、続いたりするようであれば検査をしてみましょう。
大腸がんでは便秘になるとお話ししましたが、狭くなった大腸が少しずつ排便を行なおうとしてもよおす便意を、下痢と勘違いしてしまう場合があります。
また、クローン病や潰瘍性大腸炎、過敏性腸症候群でも下痢の症状が引き起こされるので、大腸内視鏡検査が必要だといえます。
お腹が痛くなったり、張ったりするような違和感がある場合、大腸憩室症や過敏性腸症候群などの病気の可能性があります。
お腹が張るということは腸にガスがたまっている状態であり、大腸がんが進行して通り道が狭くなっていると感じられる症状でもあります。
痔であるケースが多いですが、大腸に何かしらの異常があって血便が出る人もいます。
大腸がんやポリープからの出血を痔と思い込み、発見が遅れてしまうと大変危険です。
お腹の違和感や便の異常は日常的にも起こりうる症状で、急を要する事態だと判断しづらいものです。ただ、万が一病気が原因だった場合は、長い間放置しておくと危険な状態になりかねません。年齢に関わらず、何かいつもと違うと感じたら、ぜひ検査を受けてみましょう。
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