更年期で高血圧になる原因と改善に役立つ対策とは?

2021/11/9

前田 裕斗 先生

記事監修医師

前田 裕斗 先生

更年期になると、ホットフラッシュや心の不調などの症状が現れるようになりますが、高血圧が起こる場合もあります。また、更年期による高血圧が、そのほかの更年期の症状を悪化させるという悪循環を引き起こす場合もあるので、注意が必要です。
今回は、更年期に高血圧になる原因と、更年期の高血圧の改善対策について解説します。

更年期に起こる高血圧や血圧の乱高下の原因

女性は「エストロゲン」という血管を拡張させる働きのある女性ホルモンの分泌により、若い頃は男性に比べて血圧が低い傾向があります。しかし、40代になりエストロゲンが減少し始めて血管の柔軟性が低下することに伴い、血圧も上がっていきます。

更年期になるとエストロゲンはさらに減少します。エストロゲンの激減で自律神経が乱れやすくなり、高血圧を含めた「更年期のさまざまな症状」に悩まされるようになるのです。

また、更年期の時期は、更年期による症状やイライラなどの感情の変化に不安やストレスを感じたり、子供の就職や独立、親の介護といった環境の変化などに不安やストレスを感じたりしやすいです。更年期の高血圧には、「血圧が不安定で変動しやすい」「1日のうちに乱高下を繰り返す」といった特徴がありますが、その背景には更年期特有の不安やストレスが関係していると考えられます。

このような不安やストレスが重なると血圧はさらに上がりやすくなり、血圧の乱高下も起こりやすくなります。そして、「高血圧や血圧の乱高下が悪化で不安やストレスがさらに増加し、症状がさらに悪化する」という悪循環も起こりやすくなるのです

更年期の高血圧は、期間が経過すると治まる「一時的な高血圧」の場合もありますが、慢性的な高血圧に発展する場合もあります。また、一時的な高血圧には深刻な病気が隠れている場合がありますし、更年期による高血圧が重大な病気を引き起こす可能性もあります。血圧が高い状態が続いている、血圧が不安定で変動しやすいという場合には、早めに病院を受診しましょう。

更年期の高血圧とホットフラッシュの関係

ホットフラッシュは、更年期の代表的な症状です。ほてり、のぼせ、発汗、動悸、息切れ、寝汗、喉の渇きなどの症状が、兆候もなく起こります。ホットフラッシュの原因は、卵巣機能の低下による女性ホルモンの減少と、それにともなう自律神経の乱れです。

自律神経には、活動や緊張、興奮などをつかさどる「交感神経」と、休息や安定、鎮静をつかさどる「副交感神経」があります。ホルモンバランスの乱れにより交感神経が優位な状態が続くと、血圧や血流の上昇とともに体温も上がり、ホットフラッシュが発生します。

最近の研究のなかには、ホットフラッシュのある人はそうでない人より血圧が高い傾向にあり、その傾向は喫煙者がとくに顕著という意見もあります。ホットフラッシュは、軽いものであっても長期化すると睡眠障害やうつ病を招く可能性もあります。また、似た症状を引き起こす深刻な病気である可能性もありますので、気になる症状がある人は、早めに婦人科のある病院を受診しましょう。

更年期の高血圧を改善する方法は?

更年期による高血圧の改善のためには、まず婦人科のある病院を受診することが大切です。医師と相談しながら必要に応じて薬で症状を緩和し、以下を参考に生活習慣を見直しながら乗り越えましょう。

血圧の測定

更年期の高血圧の改善するためには、まず、自分自身の血圧の状態を管理することが大切です。自宅で「家庭血圧」を毎日測定し、きちんと記録しましょう。家庭血圧とは、朝の起床後のトイレと朝食の間、夜の就寝前(入浴直後以外)の1日2回、同じ時間に測定してそれを記録することで、血圧の変動を正しく把握することに役立ちます。

食生活の見直し

更年期の症状の改善と高血圧の改善には、食生活を見直すことも重要です。高血圧の改善のために、まず取り組むべきことは減塩です高血圧治療における成人女性の塩分摂取目標値は6g/日未満とされています。調味料は必ず測って使うようにし、加工食品は成分表で塩分量を確認し、1日の塩分摂取量の目安を把握するようにしてください。醤油をポン酢に変える、醤油をスプレータイプの容器に入れ替える、麺類の汁は残すなどから始めてみましょう。

また、肉類に偏った食生活やお酒の飲みすぎは高血圧の原因です。たんぱく質は魚と大豆中心で補い、野菜を積極的に摂るようにしましょう。たんぱく質、ビタミン類やミネラル類、食物繊維をバランスよく摂ることは、更年期の症状の緩和にも役立つ場合があります。

適度な運動

高血圧の改善には、適度な有酸素運動がおすすめです。ウォーキングや会話できる程度の軽めのジョギングを、毎日30分以上する習慣をつけましょう。1回で30分できない場合は、10分ずつなど小分けにしてもかまいません。雨が降っている場合は、階段の昇り降り、エアロバイクなど、室内でできる有酸素運動に取り組んでください。

禁煙

喫煙は高血圧の原因であり、ニコチンが交感神経を刺激することで更年期の症状を悪化させる場合もあります。喫煙習慣がある人は、早めに禁煙を始めましょう。

睡眠習慣の改善

睡眠不足は血圧の上昇を引き起こすため、高血圧の原因になります。また、自律神経の乱れを引き起こすため、更年期の症状の悪化につながる場合もあります。睡眠時間は毎日6時間以上確保するようにし、質の高い睡眠を得るためにも、睡眠環境を整えましょう。

ストレスケア

ストレスは、自律神経を乱す原因であり、更年期の症状や高血圧にも影響します。ストレスはこまめに発散するように心がけ、入浴やマッサージ、ヨガ、腹式呼吸などでリラックスして気持ちをリセットする習慣をつくりましょう。

更年期の高血圧の治療は「医師の連携」が必要な場合も

更年期は、高血圧だけでなく、めまいや動悸、頭痛、不安感などの症状を併発することも多いです。症状の程度にもよりますが、このように複数の症状に悩まされている場合は、高血圧症は内科や循環器科、めまいや動悸、ほてりなどの更年期障害は婦人科、不安感や自律神経失調症などは神経科や心療内科など、別々の病院や診療科にかかる場合もあるでしょう。

複数の病院や診療科にかかるときには、それぞれの医師に別に診療を受けていることや使用している薬などを伝え、どちらの治療を優先するか、どのような治療法を選択するかなどについて話し合っておくことが大切ですいくつかの強い症状が重なっている場合には、医師同士で連携して治療にあたってもらうようにしましょう。

おわりに:更年期の症状は早めの受診が大切。セルフケアでは運動、食事、ストレスケアに配慮を

更年期の高血圧は、ほかの症状を同様ホルモンバランスの変化によって起こります。高血圧も更年期の症状も、状態によっては薬などの治療が必要になる場合があります。更年期の症状や血圧の異常に気づいた場合は、早めに病院を受診しましょう。セルフケアでは、生活習慣の改善が必要です。家庭血圧の管理、減塩など食習慣の改善、適度な運動の習慣化、ストレスケアなど、取り組むことはたくさんありますが、医師と相談しながらうまく乗り越えていきましょう。

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