記事監修医師
東京大学医学部卒 呼吸器内科医
山本 康博 先生
2019/9/5
記事監修医師
東京大学医学部卒 呼吸器内科医
山本 康博 先生
私たちの体の構成に欠かせない代表的な栄養成分、必須アミノ酸。体内で合成できず、食事からしか摂取できない必須アミノ酸のうちの1つに、トリプトファンがあります。今回はトリプトファンとは何か、その特徴や体に及ぼす効果、摂取のために積極的に食べるべき食材と注意点などを、まとめて解説していきます。
トリプトファンは、食品のタンパク質に含まれている必須アミノ酸の一種です。食事から摂取すると肝臓や腎臓で分解され、体を動かし維持するためのエネルギー源となるほか、脳に運ばれるとセロトニン生成の材料ともなります。
セロトニンは、脳で生成される伝達物質の一種です。十分に分泌されることで、質の高い睡眠や充足感、幸福感をもたらしてくれるとされます。逆にセロトニンの分泌量が不足すると、睡眠障害やうつ、不安感などの原因となります。
脳に送られたトリプトファンは、ビタミンB6やナイアシンといった材料と結合することで、セロトニンとなって私たちの心身の健康を補助しているのです。
トリプトファンを摂取することで得られる具体的な効果として、以下が挙げられます。
心身にさまざまな効果をもたらすトリプトファンは、以下の食材に豊富に含まれています。
なおトリプトファンを摂取後、脳に到達して作用するまでには、ある程度の時間が必要です。このため、トリプトファンを摂取するのに理想的なタイミングは朝だと言われています。上記食材を朝食で積極的に食べて、トリプトファンを摂るようにしましょう。
トリプトファンを過剰摂取すると、肝臓に負担がかかり脂肪肝や肝硬変の原因となります。とくにもともと肝臓に疾患を持つ人が多量に摂取すると、昏睡状態を招くリスクもあると報告されているのです。また抗うつ剤との食べ合わせにより、血圧や心拍数の変化や、脳血管収縮障がいなどの副作用を生じさせる場合もあります。
トリプトファンは、健康で服薬していない人では適量を意識して摂取し、服薬中の人は医師に相談のうえで体に害のない量を摂取するようにしてください。
トリプトファンは体のエネルギー源となる他、脳に到達すると精神の安定や鎮痛、催眠作用をもたらすセロトニンの材料となります。このため、セロトニンを積極的に摂取することで、睡眠の質や精神の安定、鎮痛、アンチエイジング効果などを得られるとされているのです。なお、トリプトファンは、食事のみから摂取が可能です。肉や魚などの動物性タンパク質、豆類など植物性タンパク質を中心に多く含まれているので、朝食で積極的に摂取しましょう。