記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2021/12/16
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
骨粗しょう症は、骨密度の低下により骨がもろくなっている状態です。閉経後の女性に起こりやすいですが、最近は男性の骨粗しょう症も注目されています。骨粗しょう症の予防には、骨密度を上げる生活習慣が大切になってきますが、どのようなことに気をつければいいのでしょうか。
今回は、骨粗しょう症の原因と骨密度を上げる対策について解説します。
骨密度が低くなり骨粗しょう症になると、骨がもろくなり骨折しやすくなります。骨には以下の役割がありますが、骨粗しょう症で骨折すると、体が支えられなくなったり、動かせなくなったりすることで、日常生活に支障が出るようになります。高齢者の骨折は、ロコモ(ロコモティブシンドローム)などの原因であり、寝たきりなどの要介護の原因にもなります。
骨粗しょう症は、加齢、閉経、性差、病歴(骨折など)、家族歴などが原因になることもあるため、完全に予防できるわけではありません。しかし、以下のような「生活習慣による原因」も、大きなリスク要因になる場合もあります。
以下のリスク要因は、生活習慣の改善で取り除ける可能性があるものです。なるべく早い段階で、以下のリスク要因を取りのぞくことが骨粗しょう症の予防につながります。食生活や運動習慣の見直しは骨密度に大きく関わるため、とくに大切です。
骨密度を上げるためには、骨の形成に役立つ栄養素を積極的に摂るのが効果的です。骨の形成には、以下で紹介するカルシウム、ビタミンD、ビタミンKを含む食品を積極的に摂ることが大切です。また、骨の形成にあたっては、カルシウムとあわせてビタミンDを摂ることが好ましいといわれています。
なお、喫煙や過度の飲酒は、骨密度を下げるリスク要因です。喫煙習慣がある人は早めに禁煙に取り組み、適切な飲酒量を守ることを心がけましょう。
ビタミンDは、紫外線を浴びることにより体内で生成できます。冬であれば30分から1時間程度の散歩、夏なら30分程度を木陰で過ごすだけで、十分な量のビタミンDを生成できるとされています。紫外線でお肌にダメージを受けないよう時間帯を選びながら、上手に日光浴をしましょう。
骨を作る細胞(骨芽細胞)は、適度な負荷をかけることでより活性化・強化される性質があるため、食事の対策とあわせて適度な運動を取り入れることも、骨密度を上げる対策に役立ちます。ウォーキングやジョギングなどがおすすめですが、高齢者や体力がない人には以下の運動も取り組みやすく、継続しやすいのでおすすめです。
どの運動も、気持ちよいと感じるくらいの負荷で、無理のない範囲で行うことが大切です。膝や腰などに痛みがある場合は、運動の種類や頻度について、必ず医師に相談しください。
ダイナミック・フラミンゴ体操は、目を開けたまま、片足で立ち続けるトレーニングです。足の骨への刺激により、骨密度を上げる効果が期待でき、骨粗しょう症の予防だけでなくロコモ予防にも役立ちます。
転倒が不安な場合は、壁やテーブル、イス(倒れないもの)などを支えにしながら行ってもかまいません。慣れてきた場合や余裕がある場合は、両手を広げてバランスをとりながら行うと、負荷を上げられます。
高齢者や骨密度が低い人が急に運動を行うと、腰や膝などを痛める場合があります。骨密度を上げるためには、運動を継続することが大切になるため、ケガなどで運動を止めてしまうことは好ましくありません。一見運動に見えないような簡単なストレッチでも、骨密度を上げる対策には役立ちます。
足回りの柔軟性を高めることは、転倒予防にも役立つので、ふくらはぎとアキレス腱のストレッチはおすすめです。ケガをしないように、ゆっくり呼吸をしながら行いましょう。
ふくらはぎとアキレス腱のストレッチと同様に、背筋を伸ばすストレッチにも骨密度を上げる効果が期待できます。また、背筋を伸ばすストレッチには、バランス感覚の向上や姿勢の改善に役立つため、転倒防止にもつながります。立った状態、座った状態のどちらでもできるので、自分の体力や体調にあわせて行いましょう。
骨密度は自覚がないまま低下し、進行すると骨粗しょう症に進みます。骨粗しょう症による骨折は、その後の生活を大きく左右する要因になります。検査が必要なタイミングについては個人差がありますが、女性は50歳を境に骨粗しょう症の発生数が高まります。50歳を前に1度骨密度を検査し、その後は1年に1回を目安に検査を受けるようにしましょう。
男性は70歳までは骨粗しょう症のリスクが低いとされていますが、糖尿病や腎臓疾患、甲状腺、副甲状腺の病気がある人はリスクが高く、遺伝的な要因や栄養状態、服用している薬が影響する場合もあります。近年は男性の骨粗しょう症も注目されているので、骨密度検査が必要かどうかについては、必ず医師に相談するようにしてください。かかりつけ医をつくっておくと、相談しやすいのでおすすめです。
骨密度の代表的な検査方法は以下4つであり、医療機関によっても対応できる検査が違います。
骨粗しょう症を発症するまで骨密度が低下すると、骨折しやすくなり、日常生活にも影響する場合があります。加齢により骨密度が低下することは誰にでも起こることではありますが、食生活と運動習慣の改善で骨密度の低下をある程度予防することも可能です。骨の形成に役立つカルシウム、ビタミンD、ビタミンKを積極的に摂り、骨に刺激を与えられる適度な運動の習慣化を心がけましょう。ただし、骨密度の低下には自覚症状がほとんどありません。ほかの健康状態もあわせてかかりつけ医と相談しながら、定期的に骨密度検査を受け、骨の健康を管理していきましょう。